PHEVの長距離・雪道・暖房性能など

雪が降る季節となり、アウトランダーPHEVで雪山までの長距離走行を幾度も繰り返すようになった。納車から5000kmオーバーを走ってみて、PHEVという未知の車の性能がようやく少し分かってきた。

暖房

      • 外気温は、メーター中央のマルチインフォメーションディスプレイ右下で確認した。
  • NORMALモード:外気温10度以上
  • ECOモード :外気温6度以上
    • 電気温水式ヒーターのみで暖房する。
  • NORMALモード:外気温9度以下
  • ECOモード :外気温5度以下
    • エンジン始動+電気温水式ヒーターで暖房する。
    • エンジン冷却水温66度になるとエンジン停止。
    • 以降、電気温水式ヒーターのみで暖房する。

表にまとめると...

電気温水式ヒーター+
エンジン稼働
電気温水式ヒーターのみ
NORMALモード 9度以下 10度以上
ECOモード 5度以下 6度以上
  • ECOモードで充分に温めておくと、(風量1の安定稼働まで)
  • NORMALモードに変更してもエンジンは稼働しなかった。

今すぐ空調・タイマー空調

  • 今すぐ空調で10分間の暖房をしてみると...
  • 電気温水式ヒーターによる強暖房が開始された。
  • 消費電力は12〜13A、バッテリー残量が5%低下。

電費

  • 日常の生活圏であれば、バッテリーの電力だけで充分走る。エンジンはほとんど稼働しない。EVと同じ。
    • 暖房を使う寒い季節だと、100%充電で30kmくらい走る。(電気温水式ヒーターあり)
    • エアコンを使わない季節なら、100%充電で50kmくらい走る。

燃費

  • 雪山までの往復をすると500km前後を走ることになる。
  • バッテリーは最初の30kmで空になるので、残りはエンジンとモーターのハイブリッド走行となる。
  • 500km前後を走破した時の燃費は、およそ14km/L前後。
    • 出発時バッテリー満充電(100%)、帰宅時バッテリー空状態(28.5%)、途中充電なし。
    • 高速道路では3車線の真ん中を100km/h前後で巡航している。
      • ACC*1で106km/hに設定すると、GPS計測で100km/hだった。
      • よって、ACCは106km/hに設定して巡航している。
    • ECOモード、暖房温度23〜24度、冷房機能オフ。
    • 必要に応じて、ステアリングヒーター・シートヒーターを利用した。
  • 高速道路の燃費については、巡航速度を下げればもっと良くなるはず。

走行モード

  • バッテリー残量が少ない時、PHEVのエンジンは、タイヤ駆動と発電を良きに計らい使い分ける。
  • スピードが70km/h未満では、エンジンで発電し、モーターでEV走行する。
    • 前輪モーターと後輪モーターで4WD走行している。
  • スピードが70km/h以上では、エンジンは直接タイヤを駆動する。
    • エンジンで前輪を駆動して走行している。
    • 加速時や登坂時は、必要に応じて後輪モーターが補助する。
  • よって、雪道を70km/h以上で走行する時は、ほとんど前輪しか回っていないのだ。
  • 70km/h以上でも4WD LOCKボタンを押すと、前輪エンジン・後輪モーターの4WD走行となる。

雪道走行

  • モーター走行するフルタイム4WDで雪道を安定して走行できる。
  • 前車レガシィから乗り換えても、違和感なく雪道を運転できた。

パーキングセンサー

  • 降雪時、何度かパーキングセンサー(障害物センサー)が誤作動することがあった。
    • ゆっくりと発進した時に、前方正面のセンサーで30cm以内の警報音(連続したピー)が鳴る。
  • おそらく、走行中にセンサー表面に雪が付着してしまい、障害物ありと判定されたのだと思う。

FCM(衝突被害軽減ブレーキ)

  • FCM FARモードとFCM NEARモードがある。
  • FCMボタンを押すごとに切り替わる。(マニュアル7-62)
    • FARモード=遠くの車にも反応する。
    • NEARモード=近くの車だけに反応する。
  • FARモードでは、街中では左折する車にも過剰に反応することが多かった。
  • よって、基本的にFCM NEARモードに設定して使っている。
    • 但し、高速道路ではFCM FARモードの方が安心できるかも。

ACC(レーダークルーズコントロール

  • ACCの加速の仕方は急過ぎる。もっとゆっくり加速して欲しい。
  • 一方、ACCの減速の仕方は上手。
    • 但し、停止する時は俗に言う「カックン」ブレーキに近い。(残念)
  • 車間距離の長・中・短は固定された距離ではなく、スピードが速いほど長くなる。
  • 多くの状況で長・中では車間距離を取り過ぎ。割り込まれてACCがわりと急なブレーキを踏む。
  • よって、基本的に車間距離「短」にセットしておきたいが、ACCオフのたびに車間距離「長」にリセットされてしまう。
  • 設定速度は115km/hまで。GPS計測で109km/hだった。
  • 登坂・追い越しなど、このくらい余裕あった方が運転しやすい。

雪道装備

スタッドレスタイヤ
  • ヨコハマ ジオランダー I/T-S G073 215/70 16インチ 100Q
    • 18インチから16インチにインチダウンした。(価格が安くなる)
  • タイヤ + ホイール + ナット + 送料 = 70,000円くらい。
  • 路面の段差を越える時など、標準装備の225/55 18インチよりも乗り心地は良くなった。
  • 当初心配していた、余分なフワフワ感もなし。首都高速のカーブでも安定して走れる。
スノーワイパー
  • 当初、PHEV標準のワイパーで大丈夫かもしれない(金属部分の露出がほとんどないので)と思ったが、
  • 実際に降雪時に走ってみると、次第にワイパーゴムの周囲に氷が張り付き、視界を確保できなくなった。
  • やはりスノーワイパーは必要。少なくともフロントワイパーは交換しておくべき。
フロントデフロスター(標準装備)
  • 降雪時や外気温氷点下の時は、デフロスターを稼働させておかないと、ウィンドウが曇りやすい。
  • 雪道では、基本的にデフロスター+足元の送風モードで走行することが多い。
  • 外気温が低い環境では、エアコンの暖房を使わずに走行するのは無理である。
    • シートヒーター・ステアリングヒーター・電気毛布・セラミックヒーターだけでは曇る。
    • 外気導入しながら、あるいはエアコンで除湿しながらの暖房が、どうしても必要になる。
リアデフォッガー(標準装備)
  • リアウィンドウの電熱線で温めて曇りを取る。
  • と同時に、ヒーテッドドアミラーも稼働する。
電気温水式ヒーター(オプション)
三菱リモートコントロール(オプション)
  • プレ空調(今すぐ空調・タイマー空調)で暖房・デフロスターしたいのなら、電気温水式ヒーターと三菱リモートコントロールが必須。
  • フロントガラスに積雪や凍結がある時、プレ空調の暖房・デフロスターはたいへん便利。
100V AC電源 1500W(オプション)
  • センターコンソール後部に100V電源があるので、
  • 後席で膝掛け用の電気毛布を繋いで活用している。
  • 車内清掃で家用の普通の掃除機も使える。
フォグランプ(標準装備)
  • 激しい降雪や濃い霧の中では、白色のLEDより、黄色いフォグランプの方が視認しやすい。
  • フォグランプを点灯するには?
    • 車幅灯が点灯している状態の時、リングを上に回す。
雪下ろしブラシ
  • 背が高いので車の屋根の雪を降ろす時に必要。
凍結ガラス用ヘラ
  • バッテリーの残量が少ないと、プレ空調できないこともある。
  • ウィンドウに付着した氷を取り除く時に必要。
  • ウィンドウの視界確保にあった方が良さそう。

サイドシルの泥はね

  • サイドシルが張り出ているので、乗降にズボンの裾が触れてしまう。
  • 洗車後の綺麗な乾燥状態なら何の問題もないのだが、
  • 濡れていたり、泥だらけの時は、ズボンの裾が激しく汚れてしまう。
  • フォレスターCX-5のように、ドア下部がサイドシルに覆い被さる構造にするべきだと思う。

自動防眩ルームミラー

  • 確かに夜間のライトの眩しさは抑えてくれるが、全体が暗すぎる!
  • ライトの眩しさのみ抑えて、全体の明るさは確保して欲しい。
  • 後続車が近づくと、ライト以外は非常に見えにくい状況となる。
  • 防眩のレベルを調整できるようにして欲しい。

雨滴感応オートワイパー

  • 霧雨・大粒の雨・雪などの状況によって、感応レベルをダイヤルで調整して使っている。
  • 状況によっては自分のタイミングでワイパーを動かしてくれるが、なかなか完全に一致したタイミングにはならない。
  • 感応レベルのダイヤルを上側に回すと必ずワイパーが動く。下側に回した時は動かない。
  • フロントワイパーAUTOの位置では、バックの時に連動リアワイパーが作動してくれない。(動作するようにして欲しい)

所感

モーター走行する電気自動車(EV)をどうしても体感してみたかった。しかし、雪道走行を含む往復500km以上の道のりを安心して走破できるEVは、今のところ存在しない。そんな時、アウトランダーPHEVを試乗して驚いた。モーターで発進してすぐにエンジンが稼働するハイブリッド車とは明らかに違う。試乗中はずっとモーター走行だけだった。

2000ccのエンジンを積んでいるがそれは脇役。4WD走行を可能にする前後二つのモーターが主役なのだ。一般道ではエンジンはほぼ発電するために稼働するだけ。日常の生活圏では完全なEVとして使えるのだ。さらに、PHEVなら無給油・無充電で500km以上の道のりを安心して走破できる。

長距離の燃費を考えると、プリウスなどのハイブリッド車の方が効率はいい。しかし、アウトランダーPHEVには燃費だけでは語れない良さがある。上質、かつパワフルなモーター走行*2の乗り味は、体感してみる価値はある。近距離は完全なEVでありながら、電欠を心配せず、長距離を走破できる安心感も素晴らしい。上記で挙げたような細かな点で不満は残るが、総合的に見た満足度は非常に高い。
おそらく、今後10年でバッテリーの技術革新(容量・充電時間・耐久性など)は相当進むと思う。それまでの間、PHEVは純粋なEVに移行するまでの現状において、最適解なのだと思う。

*1:アダプティブ・クルーズ・コントロール

*2:ぜひNORMALモードで体感して欲しい。ECOモードだとアクセルの反応が鈍くなる。