200V 15Aには何アンペアの契約が必要なのか?
アウトランダーPHEVを家で充電しようと思っても、このような基本的なところから分からない...。普通充電に関するいろいろな知識と経験を書き留めておくのだ。
EV充電用コンセントの設置工事について
- 200V 20Aを許容するコンセント・配線が必要。
- 高速高感度型の漏電ブレーカー(0.1秒・15mA・容量20A以上)も必要。
- 全日電工連「EV施工パートナー」による標準工事価格は54000円。
- 自宅の場合、未使用の200Vエアコン用の配線を流用して18000円。
- 近所の電気屋さん価格
コンセント(WK4322Q) | 3,000円 |
漏電ブレーカー(ZS 2P2E20-15) | 4,000円 |
屋外への配線工事(5m程度) | 10,800円 |
計 | 17,800円 |
バッテリー性能
- 12kW、リチウムイオン電池(正極材料=マンガン酸リチウム=LiMn204)
- 8個のセルを直列に繋げたパッケージを、さらに10個直列に繋げている。
- 1セルの公称電圧=3.75V、よってバッテリー全体の公称電圧=3.75×8×10=300V。
- 1セルの最大電圧=4.1V、よってバッテリー全体の最大電圧=4.1×8×10=328V。
- 一般的に、定電流 定電圧 充電方式で充電しているらしい。
- 放電状態では8Aが流れる電圧をかけて充電する。
- 満充電に近づくと4.1Vを超えないように充電する。(その結果、充電電流が減少する)
充電中の車側
- ハイブリッドモニターで充電中のアンペア表示を見ると8Aと表示される。
- PHEVのバッテリーは公称300Vなので、300V×8A=2.4kWhの充電が3時間以上続くのだ。
- 但し、充電電圧は1セルあたり最大4.1Vになるように充電しているようだ。
- 4.1V×8×10=328V、328V×8A=2.624kWh
00.0%〜40.0%まで8Aで充電。 | |
40.0%〜40.5%まで充電アンペアが1Aに低下する。(なぜ?何らかのメンテナンスか?) | |
40.5%〜90.0%まで8Aで充電。 | |
100%に近づくと徐々に充電アンペアは低下してくる。 | |
場合によっては、103.5%まで充電されることがある。(セル電圧を調整しているのか?) | |
最後まで充電すると100%になる。 |
充電中の家側
- 一方、PHEVを充電する時の電力メーターはどれくらい電力を消費したことになるのか?
- でんき家計簿で確認してみる。
- 棒グラフ1本は30分単位で1.5kWh前後を表示している。
- よって、充電中はおよそ3kwh程度を消費しているのだ。
- 200Vで充電しているので、3kWh÷200V=15Aが流れている。
- これは三菱自動車が示すPHEVの充電仕様とも一致している。
- 単相3線式の200Vは、+100V電線と−100V電線のどちらにも15Aが流れる。
- 契約アンペア制限は、+100V側と−100V側の合算した電流(15A+15A)で見ているので、30Aとなるのだ。
- ここでは単純に30A=3000VA(3kVA)と考えてしまってもいい。
- 200V×15A=3000VA、
- 100Vに換算すると、3000VA÷100V=30A。
よって、200V 15Aは、100Vの契約アンペアに換算すると、30Aである。
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- 現在の契約が30Aで、待機電力が0Aならば、そのまま30Aの契約でOKなのだ。追加する必要はない。
- 但し、EV充電中にまったく他の家電が使えないのも不便なので、40A程度にしておくのが良さそう。
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- つまり、PHEVを自宅で充電するには、30A以上の契約が必要になるのだ。
- ちなみに自宅は東京電力の従量電灯B 40A契約なので、PHEV充電中は他の家電の使用を1000W以下に抑える必要がある。
- エアコン・炊飯器・トースター・電気ポット・電子レンジ・ドライヤー等の使用を控えればOK。
- あるいは、三菱リモコンのタイマー充電を予約して、深夜1:00〜5:00の4時間で充電している。
交流から直流への変換
以上の経験から...
- 家側は、3.0kWの交流
- 車側は、2.4〜2.624kWの直流
0.6〜0.376kWの差分が発生している!
- これは200V 15Aの交流電源を300〜328V 8Aの直流に変換した時の差分と思われる。
- よって、変換効率は2.4〜2.624kW÷3.0kW=80〜87.5%となる。
充電にまつわるいろいろな計算
- アウトランダーPHEVのバッテリー容量は、12kW 300V
- バッテリー容量の28%前後まで、エンジンを止めたまま、バッテリーのみで走る。
- 1分間に充電される電力は、2.4kWh÷60=0.04kWh
- 1%あたりの電力は、12kWh÷100%=0.12kWh
- 1%充電するために必要な時間は、0.12kWh÷0.04kWh=3分
- 10%充電するために必要な時間は、3×10=30分
- 1時間で充電されるバッテリー容量は、60÷3=20%
充電ガンのロック機能
http://mitsubishi-motors.page-view.jp/miev_charger_set/pageview/pageview.html#page_num=8
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- それにしても、なにゆえ南京錠という枯れた技術に頼る必要があったのか...。
- キーレスドアロックに連動して、充電ガンもロックするようにして欲しい。
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交流について
- 家のコンセントに供給されている電気は交流である。
- 交流とは、電圧の±が周期的に変化している電気のこと。
- 東京電力が供給する交流は、1秒間に50回プラスとマイナスが入れ替わっている。
- 一方、乾電池やバッテリーの電気は、プラスとマイナスが変化することはなく、電圧が常に一定の直流なのだ。
- 乾電池やバッテリーは使っているうちに電圧が低下するかもしれないが、決してプラスとマイナスが入れ替わることはない。
- 現在、多くの世帯で単相3線式の交流が配電されている。
単相3線式 | 100V・200Vどちらも使える。 | |
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単相2線式 | 100Vしか使えない。 | |
三相交流 | 200V×3。タイミングをずらした単相交流が3つ分配電されている。 元々はモータなどを駆動する動力用の電源だった。 現在はEV急速充電(CHAdeMO)の電源にも利用されている。 |
交流電力の謎
- 直流だったら電圧×電流で簡単に求められるのは理解できる。
- 一方、常に変化している交流なのに、電圧×電流で良いのか?
- そもそも、電圧が常に変化しているのに100Vの交流ってどの時点の電圧が100Vなのだろうか?
- そんな疑問を無視するかのように、多くの家電製品で、交流電力=電圧×電流で計算している...。
果たして、それでいいのか?
- 実は交流の電圧は、直流の電力計算と同じになるように調整されていた。
- 例えば、直流100Vで100Wの電力消費をする白熱球を用意する。
- その白熱球を交流に繋いだ時に、単位時間あたり平均1Aの電流が消費されるような交流電圧にしておくのだ。
- 計算すると、平均100W 1Aの電流が流れる交流のサインカーブの最大値は、141.421356...Vになるそうだ。
- 141.421356...=100√2である。
- 6.4.3.3 交流の実効値 ■わかりやすい高校物理の部屋■
- つまり、サインカーブの最大値が√2Vとなる交流を1Vと考えれば、直流と同じように電力計算できるのだ!
- よって、今まで100Vと思っていた家の交流電源は、実は瞬間的には最大値141.421356...Vまで電圧が上昇していたのだ!
- 100Vを実効値と呼び、141.421356...Vを最大値と呼ぶ。
- 交流電源のボルト表現においては、一般的に実効値が使われていたのだ。
- 実効値を使うことで、直流と同じように単純な電流×電圧で計算できる。