bsjournalマニュアル

Award on Railsにbsjournalという小さな会計ソフトを作ってを応募してみました。業務システムなので、使って楽しいということは無いと思いますが、経理担当部門と伝票を作成する人達の苦労が最小限になることを目標にしてます。以下はその使い方です。
Award on Rails 2007の作品が一般公開されたようです。(2007年10月5日(金) 〜 2007年10月19日(金) 正午12:00)
bsjournalのログインページはこちらです。

bsjournalについて

bsjournalは小さな会計システムです。まだまだ、開発途上ですが、以下のような特徴があります。

  • ベイジアンフィルタによる自動仕訳を行います。
    • 摘要だけでなく、伝票全体の内容をペイジアンフィルターで判定しています。
    • 最初は間違いだらけですが、学習が進めば、かなり高精度な仕訳をしてくれるのではと、期待しています。
  • 未払、前払の自動処理を行います。
    • 伝票には経理受領日、実行日、利用月を入力する箇所があり、その情報を元に、未払・前払の費用計上を一括して行うことが出来ます。
    • 面倒な日割り按分、月割り按分の計算も1クリックするだけで自動的に按分してくれます。
  • 検索可能なプルダウンリストによるストレスの少ない入力が出来ます。
    • 可能な限り、全角、半角、ひらがな、カタカナの区別無く検索できるようにしました。

bsjournalの試用環境

以下の設定済みのログインユーザーを用意してあります。

ログイン名パスワード権限管理部署
yamadayamada経理担当者全部署
satousatou一般ユーザー通信1課、通信2課、通信3課
suzukisuzuki一般ユーザーサービス課、調査分析課


架空の会社、株式会社RAILSとして、以下の組織図を設定してあります。

株式会社RAILS
  |
  |-営業1部
  |   |-通信1課
  |   |-通信2課
  |   |-通信3課
  |
  |-営業2部
  |   |-サービス課
  |   |-調査分析課
  |
  |-管理部
      |-総務課
      |-人事課
      |-経理

ユニットとは?

  • 一言で言うと会社組織の最小単位です。これ以上細分化できない最小の組織の単位をbsjournalでは「ユニット」という言葉で表現しています。
  • 組織変更の時には、このユニットを組み替えることで、対応します。(予定です。)よって、組織が変更されても個々のユニットの中身は変化しないことが必要です。
  • 例えば、株式会社RAILSで考えてみると...
    • 通信1課はA社とB社とC社、通信2課はD社とE社のように、取引先ごとに課を区分していたとします。
    • その場合、組織図上は「課」が最小単位であっても、さらに理論上の取引先別の組織があると考え、それをユニットA社、ユニットB社のように登録しておくことになります。

不足している機能と今後

  • 1行を複数のユニットで按分することができません。
  • 消費税区分はありますが、分離仕訳が発生しません。ユニットで按分する機能と絡んで、早急に実装したい機能です。
  • 科目別の残高表示しか出来ません。
    • 取引先、従業員、ユニット、部署を関連させたクロス集計が出来るようにしたいです。
  • 組織変更に対応できていません。
    • 苦労最小限で、柔軟に対応できるように、仕組みを検討中です。
  • 未払金と未払費用、前払金(前渡金)と前払費用の選択が出来ません。(現状では、経過勘定か未経過勘定の選択が出来ません。)
  • 未収入金と未収収益、前受金と前受収益の収益計上にも対応したいです。
  • 売掛金、買掛金の計上にも対応して、振替仕訳については可能な限り自動化を目指します。

想定している利用方法

  • 経理部門は伝票内容のチェックに専念し、それぞれの担当部門が必要な伝票を作成します。
  • 一度作成した伝票は、翌月以降コピーして、再利用します。
    • 同じような支払や入金は毎月繰り返されるものです。利用月や金額だけ修正します。
  • 上記のために「最近作った伝票」リンクや「コピーして新規作成ページへ」というボタンが存在します。
    • コピーすることで入力の手間も減ります。
    • また、伝票内容のブレもなくなり、自動仕訳の精度も上がるのではと考えています。


入力方法と処理の流れ

  • 一般ユーザーが伝票を開くと、このような表示になります。

  • 「伝種」を変更すれば、支払、入金、振替伝票を切り替えることが出来ます。

  • 「取引相手」の項目は、検索可能なプルダウンリストです。取引先コード、取引先名どちらを入力しても、キーワードで絞り込んだリストを表示してくれます。
  • 日本語入力時は、escエスケープキーを押すことで、選択リストが表示されます。

  • 未登録の場合は、「取引相手」をクリックすれば、その場で、取引先を追加、編集できます。

  • 「支払先社員」「振込先情報」についても同じように、検索可能なプルダウンリストで、その場で追加、編集できます。

  • 「振込先情報」は「取引相手」「支払先社員」と連動しています。関連した振込先だけが選択リストに表示されます。

月割り按分
  • 利用月が月末を跨ぐ期間の場合、「〜」マークをクリックすると、期間の「終了月」を入力する項目が表示されます。

  • 終了月を入力して一度保存すると、「▼」マークが表示されます。それをクリックすると、月割り按分を実行します。

  • このように9、10、11月と月割り按分した結果が、3行追加されます。端数が出る場合は、最初の月で調整されます。
    • 9月:¥100000×1/3ヶ月、10月:¥100000×1/3ヶ月、11月:¥100000×1/3ヶ月

  • 按分結果に満足できたら、按分元の行は自分で削除しておきます。1行削除するには、左側の「−」マークをクリックします。
  • ちなみに、「+」マークは1行追加、「▼」マークはコピーになります。

  • もし、利用月・終了月のどちらかが日付単位まで入力されていれば...

  • 按分は日割り計算で処理されます。(この伝票はこの状態で保存しました。)
    • 9月:¥100000×16/62日、10月:¥100000×31/62日、11月:¥100000×15/62日

未払を計上する
  • 次に、経理担当者が上記伝票を開くと、一般ユーザーには表示されていなかった赤枠の部分も表示されます。
  • 右側の勘定科目の項目を見ると、「通信費」という仕訳結果が自動的に設定されています。
  • 合計金額の下の2行は、現金や預金の科目と金額を入力する部分です。経理担当者だけが入力できます。

  • 現在の「会計処理年月」は9月です。この状態で、「経理受領日」に「9/30」と入力して、「修正する」ボタンを押して保存してみます。

  • 保存できたら、メニューの「計上処理」から「未払計上」を選択します。

  • すると、先ほどの伝票の1行目の9月の電話料金の部分だけ、「通信費¥25,807/未払金¥25,807」という仕訳が発生します。

  • 仕訳内容を見るにはメニューの「仕訳リスト」を選択します。
  • 他の仕訳と混ざって見難いので、フィルターを表示して「伝票No.が70と等しい」条件でフィルターしてください。

  • そして、右端までスクロールさせてください。

  • 未払計上した後は、以下のような結果になります。(上記は未払計上する前の状態です。)
  • 一番上に未払金の仕訳が1行追加され、その未払金の仕訳と、9月分の電話料金の仕訳だけ、計上日に「2007-09-30」の日付が入り、計上されているのが確認できます。

支払を実行する
  • 時間を進めて、今度は「会計処理年月」を10月に設定してみます。

  • 同じこの伝票を、予定通り「10/15」で支払したと仮定して、その操作をしてみます。
  • まず、「実行日」に「10/15」と入力します。

  • 次に、「現預金内訳1」に支払を実行したときの「金額」「科目」「補助科目」を設定します。
  • ここでは、¥100,000、当座預金、みずほコーポレート/本店を設定しました。「修正する」ボタンを押して、保存します。

  • この状態で仕訳リストを確認してみます。計上日2007-10-15の表示のある行が、支払を実行して仕訳処理された結果です。
  • 上の3行が追加され、10月の電話料金の行には計上日が設定され、10/15で支払処理されているのが確認できます。以下のようなイメージです。

前払費用¥24,193/当座預金¥100,000
未払金 ¥25,807/
通信費 ¥50,000/

前払から費用を計上する
  • さらに時間を進めて、「会計処理年月」を11月に設定してみます。

  • 前月に支払済なので、未払計上の対象はありません。

  • 「前払計上」を選択してみます。すると、支払を実行した時に前払処理された11月の電話料金が、経費計上されました。

  • 仕訳リストで確認すると、「通信費¥24,193/前払費用¥24,193」という仕訳が計上されています。

科目残高を確認する
  • 最後に、科目残高を確認してみます。メニューの「科目残高」で「BS,PL別」を選択します。

  • 「対象月」に「11」と入力します。

  • 実行ボタンを押すと、11月の科目残高が表示されます。
  • 残高の金額は、(借方計)−(貸方計)の結果になっています。(勘定科目の種別に関係無いので、常にプラスは借方残高、マイナスは貸方残高ということになります。この方が表計算ソフトで処理し易いのです。)

  • 「≪さらに過去から」リンクをクリックすると、表示期間を過去1年分に延長して表示します。
  • 9月、10月、11月と通信費が按分した通り計上され、必要に応じて未払金、前払費用が発生して、消し込まれているのが確認できると思います。


以上で、3ヶ月に渡る処理の流れを説明してみました。たいへん、お疲れ様でした。