レンズの力

レンズを購入した。デジタル一眼のD40(今は生産終了となってしまった)で利用するために。D40をレンズキット(Nikon AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED)で使い始めてから初めてのこと。
付けっぱなしだったレンズキットのズームレンズを初めて取り外す。埃に注意しながら、購入したレンズ(Nikon AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G)を取り付けた。カチッと心地良い音がして、しっかりハマった手応えがあった。早速、試し撮り。

  • 面白っ!これまでずっとレンズキットだけしか経験してなかった身には、想像以上のぼけ具合。
  • ぼけりゃいいってもんでもないのだと思うが、しばらくはf1.8解放の写真ばかり撮ってしまいそう。

f1.8
f2.8
f3.5
f8
f22

  • 今までのレンズキットでも、決してぼけない訳ではなかった。
  • しかし、一度f1.8の世界を体験してしまうと、もはやレンズキットには戻りたくない。
  • D40を35mmの単焦点専用カメラにしてもいいくらい。
  • D40における35mmは1.5倍すると約50mmとなり、肉眼に近い視野角*1になるらしい。
  • 室内で撮影する時も、遠過ぎず、近過ぎず、使いやすい。
  • ズームできない分は、自分が前後に動いて、ベストな位置に移動すればいいのだ。

どこにピントを合わせるか

  • 激しくぼけるということは、ピントの合う範囲が狭いということになる。
  • f3.5なら顔の中心部を狙ってオートフォーカスすれば大抵問題なかった。
  • f1.8では、顔のどの部分を狙うかまで考える必要を感じた。
    • 手前の目なのか、奥の目なのか?
    • さらに、瞳なのか、目尻なのか、まつ毛なのか?
    • 状況によっては、まつ毛の付け根なのか、先端なのか?
  • より具体的に狙う場所を考える必要があった。

被写界深度

  • ピントの合う範囲のことを被写界深度と言うらしい。
  • その被写界深度が、f1.8で一体どれくらいなのか?知りたくなった。

調べてみた



被写界深度の計算 〜各種カメラ・フィルム・レンズによる被写界深度の違いを一覧表で比較〜
  • 被写体までの距離:1m、絞り:f1.8、レンズ:52.5mmだと、被写界深度:4.3cm。
  • ピントが合った位置で考えると、その前後2.2cm以上の範囲はぼけ始めることになる。
  • たったの2.2cm...。顔のどの部分を狙うかで、印象が変わってしまう訳である。
  • ちなみに、この表を丸ごと暗記するほど記憶力は良くないので、法則のようなものを探ってみた。

...なるほど。

初めてのデジカメ

  • 初めて使ったデジカメは、200万画素・1/2インチCCDくらいのコンパクトデジカメだった。
  • 撮ったらすぐに画像を確認できるのが新鮮で、とにかく何か映っていれば満足だった。
  • それをパソコンの画面で見るというのもまた新鮮で、見ているだけで楽しかった。
  • しかし、デジカメに慣れてくると、シャッターチャンスを逃す機会が多いことが気になってくる。
  • 今この瞬間を撮りたいと思っても、ONにしてから撮影できるようになるまでの起動時間が長かった。
  • 何より気になったのは、この瞬間だと思ってシャッターを押したのに、若干遅れたシーンが映っていること。
  • 素敵な笑顔の瞬間を写したはずなのに、写ってるのは真顔に戻った変顔の瞬間だった、なんてことがよくあった。

初めてのデジタル一眼

  • このタイムラグが気になって、デジタル一眼に手を出すことになる。
  • スイッチONで即起動、シャッターを押したその瞬間が画像として記録された。
  • 押したその瞬間がそのまま記録されることに感動した!
  • D40には連写モードもあって、撮影枚数が一気に増えた。
  • しばらくは、自分の意志で撮るというよりは、デジタル一眼の軽快さに撮らされる感覚でガシガシ撮った。
  • しかし、デジタル一眼にも慣れてくると、新たな気がかりが出てくる。
  • ちょっと薄暗い室内では、オートで撮影するとフラッシュが発光してしまう。
  • フラッシュが発光すると、人の笑顔は自然に映らない。眩しさを訴えたような顔になってしまう。
  • だからフラッシュ禁止モードにするのだが、そうすると手ぶれ、あるいは被写体側の動きでブレた画像になる。
  • それにポートレートモードの時に、もっと背景がぼけてくれた方が、煩雑な室内背景が気にならなくていいのに。

初めての大口径レンズ

  • そんな経緯で35mm・f1.8のレンズを購入してしまった。
  • 薄暗い場所でもフラッシュ発光なしで、背景をぼかして撮影できるようになった。
  • 室内での撮影で、ほとんどの状況でフラッシュ発光が不要になった。
  • 特に未体験の背景のぼけは感動的で、またしても撮影枚数が増えてしまいそう。
  • しばらくは、自分の意志で撮るというよりは、35mm・f1.8のぼけ味に惹かれて撮らされる感覚になりそう。

初めて気になるカメラ本体の性能

  • f1.8は明るい。明るいから薄暗い室内でもフラッシュなしで撮影できるのだが、真夏の晴天下では問題があった。
  • D40シャッタースピードは最高速でも1/4000秒。
  • が、状況によっては、f1.8では明る過ぎて、シャッタースピードが足りないのだ。
  • f1.8固定に執着するから問題であり、そうゆう時は素直にf2.8に絞ればいいのだ。
  • しかし、もし1/8000秒のシャッタースピードがあったら、また別の世界が映るのかもしれないと思ってしまった。
  • 今まで、そんな高速シャッターで何を撮るのだろうと思っていた。
  • そうか、実は素早い動きを撮るのではなく、大口径レンズのために存在する1/8000秒だと気付いた。
  • f1.8よりも、さらに明るい高価なレンズがたくさんある。どんな世界が写るのだろう?

使い方

撮影モード(P56〜)
  • f1.8を有効活用するには、ダイヤルAの位置にセットして、絞り優先オートで撮影するのが良さそう。
ISO感度(P49〜)
  • ダイヤルAでは、ISO感度のAUTO設定がなくなる。
  • ISO200から1600まで自分で設定しておく必要がある。
感度自動制御(P110〜)
  • 但し、感度自動制御をありにして、以下の限界値を設定しておくと、指定したf値を維持して適正な露出が得られるようにISO感度を自動制御してくれる。
ピント合わせ(P38〜)
  • オートフォーカスは便利で楽なのだけど、激しくぼける明るいレンズは、狙う位置がシビアになる。
  • どうしてもオートフォーカスでは満足できない状況もあるかもしれない。
  • そんな時は、自分でレンズのフォーカスリングを回してピント合わせしてしまう方が結果はいいかもしれない。
  • レンズ側の切り替えスイッチがM/Aなら、フォーカスロックした状態で、フォーカスリングを手動で回してピント合わせできる。
  • フォーカスロックせず手動ピント合わせしても、シャッターを押した瞬間にオートフォーカスが機能して、自分のピントが台無しになる。
フォーカスロック(P112〜)
  • 連写モードでフォーカスロックして撮影しても、最初の1枚は意図したピントになるが、2枚目以降はそれぞれの中央部のフォーカスエリアでピントが修正されてしまう。
  • この仕様は、動きのあるものを追跡しながら撮影するには良いのだが、中央に位置しない顔の表情の変化などを追う連写においては、残念な結果になる。
  • 特に明るいレンズではさらにがっかりする。
  • このD40で長年の悩みがようやく解決した。
  • AE-L AF-L ボタンを押しながら連写すれば良いのだ。
    • シャッターボタンを半押しでオートフォーカスする。(ピントが合ったら半押しを解除してもOK)
    • AE-L AF-L ボタンを押しながらシャッターボタンを押し続けて連写する。


まだまだ知らないことが多いが、明るいレンズにして新たな世界が見えてきた。楽しい!しばらくはf1.8解放がやめられそうもない。当分、レンズキットのズームレンズに戻れなくなりそう。レンズには魔力があった...。

*1:但し、遠近感(前後の物体の大小関係)やボケ具合は35mmのまま。
撮像素子フルサイズの50mmとDXフォーマットの35mmは同じにならないのだ。
フルサイズの35mmで中央部をDXフォーマットのサイズにトリミングしたもの = DXフォーマットの35mmとなるようだ。
-http://digicame.side-e.jp/htm2/210/
-http://www1.plala.or.jp/tsoma/gakaku.html