Retinaよりも大切なもの

その後の関連日記あり

発注

WWDCの翌日、MacBook Pro Retinaモデルを発注してしまった。2880×1800の魅力にとり憑かれてしまったのだ。発注したモデルは...

値段は今まで使っていたMacBook2台分以上だが、このスペックなら今後5年以上はそのまま使い続けられるのではないか、と考えての発注であった。
実際過去6年間に、初代MacBook、2008LateMacBookと非力なマシン2台を使い続けてきて、ハードディスクの交換、メモリの追加など、総額はMacBook Pro Retinaモデル以上の金額を投資しているのだ。それを考えれば、最初に満足できる高スペックを購入して、満足しながら長く使い続ける方が幸せなのではないかと。

体験

先日、アップルストア店舗にて、MacBook Pro Retinaモデルをじっくり触る機会があった。店舗に到着した時、偶然にも入り口付近のRetinaモデルはどれも空いていた。(人気があると聞いていたので塞がっていることを覚悟していたが)あまりにも突然、Retinaモデルに辿り着いてしまったので、当初、画面を見た限りではそれがRetinaモデルかどうか確信が持てなかった。
しかし、周囲のマシンとの厚さの違いを眺めてみて、ようやくこれはRetinaモデルだと確信できた。そう思って顔を近付け目を凝らすと、噂どおりRetinaは美しい!ピクセルが緻密でコントラストの高い画面は紙を超えた気がする。
感動に浸りながら、まずはSafariでブラウズしてみることにした。表示されたのはお決まりのアップルのページから。そして、スクロールした瞬間に何か違和感を感じた。滑らかでない...。
そうそう、アップルのページは重いことで有名だったよね、と気を取り直して、なにか適当な検索結果でも表示してみようと。検索結果は一瞬にして表示された。スクロールしてみる。やはり、滑らかでない...。
そっ、そうか、最近のgoogleは昔と違って重くなってしまったのかもしれない...。いや、待て、自分が使っている初代MacBookでは、ウルトラスムーズにスクロールしているではないか!Retinaモデルよ、一体どうしたというのだ...。

落ち着いて考え直してみると、その答えは新iPadRetinaモデル)の紹介文に隠されていた。

すべてのピクセルに完璧な性能を。
クアッドコアグラフィックスを搭載したA5Xチップは、iPad 2の4倍のピクセルを動かします。でも、これまでのiPadでおなじみのスムーズさと滑らかさは変わりません。さらなるパワーが加わったのに、バッテリーの駆動時間もこれまでと同じ10時間。おなじみの驚きも変わりません。

iPad - Apple(日本)

もしかしたら、500万画素以上(2880×1800=5,184,000)のピクセルを滑らかにスクロールさせる処理は、想像以上に重い処理なのかもしれない...。そう思って、近くの店員に声をかけてみた。

  • 自分:「あの、Retinaは綺麗ですね。でも、スクロールが滑らかでない気がするんですが...」
  • 店員:「はい、そのとおりですね。今までの4倍以上のピクセルを動かしますからね。かなり負担のかかる処理なんですよ」
  • 自分:「スクロールの引っかかりは、Mountain Lionで解消されますかね?」
  • 店員:「いずれ対策されると思いますよ。でも、いつになるかは...」

なるほど。スクロールが滑らかでない件は、店員も認識していることなのであった。それでは、他のMacBookはどうなのかと、展示されているマシンを片っ端から試してみた。

モデル 大きい方の解像度 スクロール品質
MacBook Air 11・13インチ 1440×900 = 129万6000 スムーズ
MacBook pro Retinaモデル以外 1440×900 = 129万6000 スムーズ
MacBook pro 高精細モデル 1680×1050 = 176万4000 スムーズ、若干鈍さを感じる程度
MacBook pro Retinaモデル 2880×1800 = 518万4000 引っかかる、反応が遅れる
iMac 21インチ 1920×1080 = 207万3600 スムーズ
iMac 27インチ 2560×1440 = 368万6400 引っかかりはないけど、鈍さを感じる
iPad 2048×1536 = 314万5728 スムーズ

自分の主観であるが、以上のように感じてしまったのだ。確かに、ピクセル数が多くなると反応が鈍くなる傾向がある。iMacも27インチモデルになると、鈍さを感じてしまった。その点、新iPadは大健闘している。300万ピクセル以上を滑らかに動かして、指の動きに素直に追従する慣性スクロールは触っていて気持ちのいいレベル。
そして、ピクセル数は129万と少ないが、MacBook Airの軽快さもかなりいい。すべての操作に0.01秒の遅れもなく素直に操作できる感覚。ワンテンポ遅れるということがほとんどない。フラッシュストレージの恩恵を受けて、処理速度とピクセル数のバランスが最も良いと感じた。それに、展示されているマシンの中で最も低温を維持している。どこを触ってもひんやりと冷たい。

これはもしかしたら、Retinaの魅力にこだわる必要はないのかもしれない。自分の中の価値観が一気に変わっていくのを感じたのだった。

距離と解像度の関係

それぞれのマシンを使う時の距離を考えてみた。

iPhone 約25cm
iPad 約35cm
MacBook 約55cm

これは自分が使う時の距離を測ったものだが、多くの方が似たような距離で使っている状況だと思われる。

  • iPhoneを片手に持って、脇を締めて画面を眺めるとだいたい25cmくらいの使用距離になる。
  • iPadは重いので机の上に載せて使うことが多い。すると、iPhoneを持ち上げていた状態から下ろすので+10cmした約35cmが使用距離。
  • MacBookは、キーボード・トラックパッドの操作スペース分画面が奥に移動するので+20cmした約55cmが使用距離。

そして、この距離は、解像度との関係で非常に重要である。

iPhone 326ppi
iPad 264ppi
MacBook 220ppi

同じRetinaであっても、iPhoneMacBookの1ピクセルあたりの面積は、2倍以上差があるのだ。

  • 326÷220 ≒ 1.48
  • 1.48×1.48 ≒ 2.19

にもかかわらず、MacBook Pro Retinaモデルは、画面を見る限り問題なく美しい。そればかりか、MacBook AirだってRetinaに負けないくらい美しく見える。それはMacBookを操作する時、通常は55cmという遠方から眺めているから。遠くから眺めたら、細かな違いは認識できなくなるのだ。(それが網膜の限界を超えるのでRetina=網膜ディスプレイと呼ばれる所以なのだ)その違いを知るには、顔をグッとMacBookの画面に近付けて、iPhoneiPadの距離にする。すると、やっぱりRetinaは美しいよね、と満足感に浸れる。

もっと言えば、たぶん10cmの距離まで近づけば、iPhoneMacBook ProRetinaの違いも分かると思う。

ところで、55cm離れて眺めて美しいと感じたMacBook Airの解像度はどれ程かというと...これはRetina以前のiPadとほぼ同じ解像度なのである。

MacBook Air 127.6ppi
iPad2 132ppi

自分の初代iPadiPhone4Sを55cm離して電子書籍を眺めてみた。すると、初代iPadがわずかにぼやけた印象を感じる程度で、iPhone4Sとの差はほとんどない。一方、実際の使用距離であるiPadの約35cmまで近づくと、その違いは明確である。(電子書籍の文字においては)しかし、写真を見比べた状況では、10cmまで近づいてもRetinaとの区別はほとんど分からない。
アップルストアの店員さんに、ちょっと意地悪な質問をしてみた。写真を見ている状態でこれはiPad2ですか?新しいiPadですか?と質問してみたのだ。すると、その店員さんは素早く 設定 >> 一般 >> 使用許諾 を表示して、iPadに顔を近付けて答えてくれた。新しいiPadですねと。(店員さん、ありがとう)iPadを見慣れているはずの店員さんでさえ、Retinaかどうかを写真だけで判断するのは難しいのである。

縦長に使う自由が欲しい

  • Retinaモデルは、15インチでありながら1920×1200という広大なディスプレイモードを選択できる。
  • しかし、iPhoneiPadと違って、MacBookはディスプレイを横長に使うしかない。
  • その結果、たいていのWebページでは、縦長にしたiPadの方が表示領域としては広いのである。
  • もし、1800×2880という領域をそのまま縦長に表示できたら、一体どれほどの領域を俯瞰できるのか。
  • 広大なRetina空間を満喫するには、画面を縦長に使う自由が欲しくなるのだ。

広大なデスクトップの必要性が薄らいでいる

  • かつてのOS9までの時代は、OSの作業の中心はデスクトップであった。
  • 作業中のファイルはデスクトップに置いて、デスクトップ経由で他のアプリケションとファイルのやり取りをする。
  • ダウンロードしたファイルもデスクトップに追加されていく。
  • 複数のウィンドウを開いて、作業し易い大きさにリサイズして、ウィンドウをクリックして切り替えながら、連携させる。
  • 正にデスクトップ=机の上であり、作業スペースが広大なほど作業はやり易い状況だった。
  • ところが、OSXになってDockという魔法の引き出しが追加された。
  • Dockに登録したフォルダは、グリッド表示によって、第二,第三のデスクトップとなっていく。
  • ダウンロードしたファイルはダウンロードフォルダに保存される。
  • Expose、Spacesによって、最大化して幾重にも重なり過ぎたウィンドウも、一瞬にして整理され、必要なウィンドウを選択できるようになった。
  • デスクトップの重要性は次第に低下していった。
  • さらに、OSX Lionからは、アプリケーションはフルスクリーン状態で起動できるようになった。
  • メニューバーさえ非表示にして、アプリケーションは必要な作業に特化した領域を最大化できるのだ。
  • また、マルチタッチトラックパッドによって、アプリケーションやウィンドウの切り替えもますます便利になった。
  • もはや、デスクトップに戻らないとできないことなど何もないのだ。
  • 広大なデスクトップは確かに魅力だが、ある程度の広さがあれば、作業は十分捗る。
  • 何をするかにもよるが、無理して大きなディスプレイを使う理由がなくなりつつあるのだ。

写真を見たときの印象

  • Retinaモデルの特徴として、Appleはルーペで拡大してもブロック状のピクセルにならないことを売りにしている。
  • しかし、これは裏を返せば、もっと拡大したいのにそれ以上拡大できない状態とも言える。
  • Retinaモデルには、さらに2倍にする拡大モードが欲しくなる。
  • また、写真はRetinaよりもシネマディスプレイで見た方が迫力を感じた。
  • iPhotoの同じアルバムを27インチのiMacでも閲覧してみた素直な印象である。

温度

  • アップルによると、Retinaモデルでは羽根の間隔が非対称の冷却ファンを搭載しているのだと言う。
  • これによって、耳障りなファンの音が抑えられ、ある程度ファン回転が上がってもそれほど気にならない音になるのだと言う。
  • しかし裏を返せば、冷却ファンの騒音を抑える対策をしていということは、元気よくファンが回転する可能性もあるのだ。
  • ところで、展示されているMacBook Airを触って驚いた。どこを触ってもひんやりと冷たい。
  • つまり、ファンで冷却するよりも、理想は冷却する必要のないCPUを使った方がいいのだ。

Retinaの必要度

以上のことを考えながら、MacBook Pro Retinaモデルを見つめ直してみる。

  • MacBookを操作する時の一般的な距離である55cm離れていれば、Retinaでなくても十分な解像度である。
  • Retinaにすることで滑らかにスクロールしなくなるのなら、軽快かつ滑らかにスクロールする普通の解像度モデルの方が良さそう。
  • スクロールはかなり頻繁に行うOSの基本操作である。そして自分にとって、軽快で滑らかなスクロールは非常に重要なのだ。
  • iPhoneiPadからあの滑らかな慣性スクロールが失われたら、その魅力は半減してしまうと思っている。
  • 自分が求めているのはスクロールだけではない。どんな時でも指の動きに寸分の遅れもなく追従するUIであって欲しいのだ。
  • その反応が鈍くなるのなら、自分の使い方ではRetinaである必要はない。

理想

それでは、自分は一体どんなマシンが欲しかったのか、考えてみた。

  • ちょっとやそっと使ったくらいでは、決して熱くならないマシンが欲しい。
  • 0.01秒の遅れもなく、忠実に指の動きに追従する操作感が欲しい。
  • 画面のサイズは13インチ程度で十分。さらにRetina化されていると嬉しい。
  • 画面を縦長に使う自由が欲しい。
  • すると、必然的にディスプレイ部分は取り外し可能となるだろうか。
  • ならば、取り外したディスプレイはiPadのように指でも操作できるようになって欲しい。
  • そう考えるならば、現状のiPadを外部ディスプレイとして活用できれば、かなり理想に近づくかもしれない。
  • あるいは、OSXiOS両方を起動できるiPadがあって、それにマルチタッチトラックパッド付きのキーボードを組み合わせる作戦もありかもしれない。

iPadの外部ディスプレイ化

そんなことを考えていたら、iPadを外部ディスプレイにするアプリというのが既にあった!(素晴らしい情報に感謝です!)

さっそく試してみると、見事!iPadが外部ディスプレイになってしまった。iPad側では指で触って操作することもできた。但し、操作性の品質としてはVNCとか画面共有のレベルなのだが、使い方によっては十分使えるアプリなのであった。素晴らしいアプリである。こうゆうアプリを作れる技術を是非とも身に付けたい。
ならば、本家Appleが本気になって開発すれば、Thunderbolt接続して一般的な外部ディスプレイと同等の操作性にすることも十分可能だと考えてしまった。いつの日かiPad RetinaモデルがThunderbolt接続の外部ディスプレイとして利用できるようになって欲しい。切に願う。

キャンセル

当初、MacBook Pro Retinaモデルは、7月の第1週には納品される予定であった。その日を楽しみに待っていたのだが、以上の経過からキャンセルしてしまった。残念...。

声援

いずれ自分が理想と思っている以上のマシンが、Post JobsのAppleで開発されると信じている。
Apple、頑張れ!

グラフィックスの自動切り替え

システム環境設定 >> 省エネルギー >> グラフィックスの自動切り替えオフにした場合の描画パフォーマンスはどうなるのだろう?

      • Retinaモデルお持ちの方いらっしゃいましたら、ぜひ情報頂きたいです!



「サイズ調整した解像度を使用するとパフォーマンスに影響する場合があります」

原因が判明した!(と思ったが、実際に試してみるとやはり指の動きに対する遅れを感じてしまった...)

  • なんと、システム環境設定 >> ディスプレイ >> 「Retinaディスプレイに最適」を選択していないと、パフォーマンスが落ちるらしいのだ!

  • 確かに自分が店頭で試した時は、「サイズ調整」を選択して、最大の1920×1200にして、広大なデスクトップを満喫していた。(だって、憧れだったから)
  • なるほど、1920×1200にするということは、元の2880×1800を2/3倍することになる。その処理に時間がかかっていたのだ。
  • 一方、Retina最適なら、1440×900。これは元の解像度を1/2倍するだけ。
  • コンピュータは2進数で動くから1/2倍 = 自分たち人間にとっての1/10と同等。つまり、超高速に処理できる。
  • 明らかにMacBook Pro Retinaより性能が劣るはずの新しいiPadが滑らかなのは、Retina最適しか選択できないから。
  • 文字や画像のアンチエイリアス処理、影の処理、中途半端なピクセルの整合性を合わせる処理、それらの処理を500万ピクセルについて2/3倍するのはかなりの負担なのかもしれない。
  • これは購入後のソフトウェアアップデートによって、システム環境設定に表示されるようになる情報らしい。
  • つまり、本家Apple自身もパフォーマンスが落ちることを認識しているということだ。
  • すぐに対応せずに注意書きを付記したということは、根が深い問題なのかもしれない。
  • それにしても広大なデスクトップの魅力は捨て難い。
  • Retina最適だけ滑らか、では魅力が半減してしまう。
  • いっそのこと、純粋に2880×1800そのままの解像度で表示するモードまで設定できるようにしてくれればいいのに。
  • そうすれば、Retinaモードとピクセル等倍モードはパフォーマンスが落ちずに滑らかに操作できるはず。
  • もしかしたら、defaultコマンドでその設定は可能かもしれない。いや、絶対に可能なはずだ。あとは誰かが見つけるだけ。

2880×1800フル解像度にする方法

さっそく情報を頂いた!どうやらできそう!

再び、Retinaモデルが欲しくなってきた...。

  • やっぱり買って、日常的に使ってみないと、分からないことってたくさんある。

再び体感

後日、いろいろ頂いた情報を試したくて、再びアップルストアへ足を運んでしまった...。

  • 店員の方に無理を言って、最新のソフトウェアウェアアップデートをすべて適用してもらった。
  • システム環境設定 >> ディスプレイ >> 「Retinaディスプレイに最適」を選択して、
  • システム環境設定 >> 省エネルギー >> 「グラフィックスの自動切り替え」のチェック無し。

以上の設定をして、期待に胸を膨らませて、いざスクロールしてみると...

  • やはり、Retinaモデルの操作感は、自分の感性には合わなかった。残念...。
  • 効果は気持ち改善されたかな?という程度の変化でほとんど変わらなかった。
  • 但し、一つ気付いたのは、iPhotoの写真をスクロールするときの操作感は、寸分の遅れもなく自由に動かせている感触だった。なぜ?

散々我がまま言っても、笑顔で対応してくれた店員さんに感謝です!
そして、最後は買わずに店を後に。
いずれRetinaモデルの操作感が改善された暁には、買いに行きます。