カメラの知識(露出について)

灯台下暗し。カメラの基本的な知識は、メーカーのサイトで親切、丁寧、体系的に解説されていることが多かった。

レンズのF値

      • F値が2倍(F1.0→F2.0)になると、口径は1/2倍になり、面積は1/4倍になることに注意。

絞り

    • 絞りとは、穴(多角形、あるいは円形に近い)のサイズを調整可能なドーナツ状のフィルタ。
  • F値が2倍になると、レンズ直径は1/2、光が透過する穴の面積は1/4になる。(明るさ1/4)
  • F値が√2倍になると、レンズ直径は1/√2、光が透過する穴の面積は1/2になる。(明るさ1/2)
  • よって、... F1.4、F2、F2.8 ...のように√2倍・1/√2 倍での変化が1単位。(√2 ≒ 1.4で概算)
  • 値が小さいほど口径が大きい。明るくなる。

シャッタースピード

  • フィルム、または撮像素子(CCD・CMOS)を光にさらす時間を決定する。
  • ... 1/30、1/60、1/125 ...のように2倍・1/2倍での変化が1単位。
  • 時間が長いほど明るくなる。

ISO感度

露出

  • 撮影するためには、フィルムや撮像素子に適切な光量を照射する必要がある。その光量を露出という。
  • 露出は、絞り・シャッタースピードISO感度の3要素の組み合わせで決定される。
  • 値の変化は、光量の2倍・1/2倍の変化が1単位となる。
  • この1単位のことを「1段」と表現することが多い。

EV値

EV値 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
絞り 0.5 0.7 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32 45 64 90
シャッター 4 2 1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500 1/1000 1/2000 1/4000 1/8000
EV値 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 -6 -7 -8 -9 -10 -11 -12 -13
ISO感度 25 50 100 200 400 800 1600 3200 6400 12800 25600

    • 絞りF値シャッタースピードとも、正確に計算すると若干違う値になる。(例:本来は1/16、1/32、1/64...であるはず)
    • おそらく、ユーザーの便宜を図って上記のような値表現になっていると考えられる。(表記上1/15だが、カメラ内部では1/16だと思う)
  • フジカラー FUJICOLOR 100の説明書によると、快晴の屋外では絞りF11、シャッタースピード1/250が適正露出のようだ。
  • そのEV値は、F11=EV7、1/250=EV8、ISO100=EV0、7+8+0=EV15となる。
  • 逆に、EV15の光量が得られれば、絞り・シャッタースピードISO感度は別の組み合わせでもOKなのだ。
    • 例1:F2.8・1/4000・ISO100、3+12+0=EV15
    • 例2:F22・1/125・ISO200、9+7-1=EV15

1/3段刻み

  • ところで、現実の世界はキッチリ1段刻みで動いてはおらず、1/3段刻みだったりする。
  • 1/3段刻みまで考慮した表を考えると、以下のようになった。(主要な部分のみ)

Ev値 1 2 3 4 5 6 7 8 9
絞り 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.5 2.8 3.2 3.5 4 4.5 5 5.6 6.3 7.1 8 9 10 11 13 14 16 18 20 22
シャッター 1/2 1/2.5 1/3 1/4 1/5 1/6 1/8 1/10 1/13 1/15 1/20 1/25 1/30 1/40 1/50 1/60 1/80 1/100 1/125 1/160 1/200 1/250 1/320 1/400 1/500

    • 絞りは、√2の3乗根刻みで動く。つまり、(√2)^(1/3) = 1.12246205 倍刻み。
    • シャッタースピードは、2の3乗根刻みで動く。つまり、2^(1/3) = 1.25992105 倍刻み。

細かい...。

  • 実際にネガフィルムを利用する場合、1/3段まで細かく露出を合わせる必要性はなさそう。
  • ポジフィルムやデジカメであれば、絞り優先やシャッタースピード優先の自動露出を活用するのだ。
  • もし、古いカメラでポジフィルムを使うなら、露出計が必要かもしれない。

体感露出

  • 適正露出を正確に知ろうとすれば、露出計が必要になるのだが、
  • ネガフィルムなら、そこまでの厳密さは不要で、適度にゆるい体感露出でも意外によく写るらしい。
  • 実際、レンズ付きフィルムという製品もあって、ピント調整なし、固定露出だったりする。それでも屋外ならほぼ満足の写り。
  • EV値をISO100固定で考えた時の、絶対的な光量をLV値と呼ぶ。
  • おおざっぱに区分すれば、LV(ライトバリュー)値としては以下のように体感できるらしい。

被写体 LV
快晴の海・山・雪 16
快晴 15
晴れ 14
明るい曇 13
曇・日陰 12
暗い曇・雨 11
ナイター 10
明るい舞台 9
夕暮れ 8
明るい室内 7
暗い室内 6
夜景・夜の照明室内 5

露出表

F1.4 F2 F2.8 F4 F5.6 F8 F11 F16 F22
LV1 1
LV2 1/2 1
LV3 1/4 1/2 1
LV4 1/8 1/4 1/2 1
夜景・夜の照明室内 LV5 1/15 1/8 1/4 1/2 1
昼間の暗い室内 LV6 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1
昼間の明るい室内 LV7 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1
夕暮れ LV8 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1
明るい舞台 LV9 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1
ナイター LV10 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2
暗い曇・雨 LV11 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4
曇・日陰 LV12 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8
明るい曇 LV13 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15
晴れ LV14 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30
快晴 LV15 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60
快晴の海・山・雪 LV16 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125
LV17 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500 1/250
LV18 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000 1/500
LV19 1/8000 1/4000 1/2000 1/1000
LV20 1/8000 1/4000 1/2000
LV21 1/8000 1/4000
LV22 1/8000

感度分の16

なるほど!

検証してみる。

  • 感度分の16によれば F16・1/125 になるが、
    • 絞りを1段開けて、シャッタースピードを1段上げれば、
    • フジカラー FUJICOLOR 100推奨のF11・1/250と同じ!


より一眼レフらしい(ボケのある)絵にしたい場合は、「感度10倍分の5.6」なんていう応用もあるようだ。

  • あっ、でも古いカメラには1/1000さえなくて、1/500までの場合が多いのであった...。
セノガイドC

経緯

どうしてこんなことを考えるようになってしまったか?というと...

実家で見つけてしまったのだ...。Canon EX EE と書いてある。(過去に誰かが使っていたモノ)

  • 50mm F1.8 の明るいレンズのフィルム一眼レフだ。
  • ピントはマニュアル。
  • AE(自動絞り)機能はあるが、もはや対応する電池は販売されていない...。
  • つまり、撮影するには絞り・シャッタースピード・ピントのすべてを自分で操作する必要があるのだ。

このカメラで撮影してみたくなったのであった。

  • 40年くらい前のカメラだけど、一体どんな絵に仕上がるのだろう?
  • レンズには若干カビが生えている。だけど、ファインダーを覗いた感じはほとんど問題なし。
  • 手に取ると、ずっしりと重い。重さを計ってみると930gもある。大きさはD40とほとんど変わらないのにすごい存在感。
  • シャッターを巻いて、リリースボタンを押すと、カシャンと心地良いシャッター音。セルフタイマーも付いている。
  • ピント合わせのダイアルは、とっても質感が高い。
    • 回す指はとっても重いんだけど、ちょっと力を入れるだけで、少しずつ回り始める感触。
    • どんな小さなピントの山も決して外さない微調整ができそうな気がする。
  • 電気に頼らす、すべてが機械の力で完結する。完全メカニカルなカメラ。
  • オーバースペックなまでに質実剛健
  • D40には絶対にかなわない高い質感がある。

そんな道具が目の前に現れたら、思わず使いたくなってしまう自分が居たのであった。