正午は午前12時なのか?午後0時なのか?それとも午後12時?

時計の針を読めない子供に、時計の読み方を教えるのって結構難しい。短い針の指す「時」の単位はともかく、長い針の指す「分」の単位を覚えるのは予想外に大変なようだ。大人だったら「5倍すればいいんだよ」で済んでしまうところ、まだ掛け算九九も知らない子の場合、1=5分、2=10分...と地道に丸暗記しているようだ。(頑張ってね!)

  • 最初は、NHK教育テレビの幼児向け番組を見たいから、時間に興味を持つ。
  • 長い針が一番上とか、横に来た時とかで時間を意識していた。
  • それでも結構正確に把握していて、大体のタイムテーブルが頭に入っている感じだった。
  • 但し、短い針の存在をあまり気にしていないので、たまに1時間ズレていることがあった。(笑)
  • そのうち数字を読めるようになると、短い針が7で、長い針が8になりかけると「コッシーが始まる」なんて言い出す。
  • 丸暗記して7時40分に始まると言えるようになるけど、じゃあ7時35分はどこ?という質問には答えられなかったりする。

ちゃんと理解しないとね。そう言いかけて、ちょっとためらう自分が居た。

  • 果たして、自分はどれほど時間のことをちゃんと知っているのだろうか?
  • そもそも、1秒とは何を基準に決めた単位なのか?
  • 1年の定義は?1日の定義は?暦とはどのような仕組みで成り立っているのだろう?

大人になると、もはや慣例的に分かってしまっているような気分でいるけど、正確な説明をするには、実はかなりの知識が必要な気がする。

  • 昼の12時は、午前12時なのか?午後0時なのか?それとも午後12時なのか?
  • ちゃんと答えられるだろうか。そして、その理由を説明できるだろうか。

1日の定義

なるほど。

  • 地球が1回自転するのにかかる時間が1日(= 自転周期)かなと思ったが、正確には違った。
  • 地球上の同一地点で観測して、太陽が南中してから次の南中までが1日(= 1太陽日)である。
  • ちなみに、1恒星日は、太陽よりも遥か遠くにある恒星が南中してから次の南中までの時間。これは自転周期とほぼ一致する。
  • 1恒星日 = 0.99727太陽日(23時間56分4.090 530 832 88秒)(地球の自転 - Wikipedia
    • 地球は自転しながら、太陽の周りを公転もしている。
    • 時計の中心を太陽に見立てて、もし1太陽日で地球が6時から3時の位置に公転した時、自転は1回転+1/4回転(公転による回転分)している計算になる。
    • 本来の地球は1公転に約365日必要だ。つまり、その間に366回の自転をしている計算(= 366恒星日)になる。
    • 365/366≒0.997267759562842... 近似している。
  • そういえば、中学校の理科の授業で恒星の一日は約23時間56分で、太陽の一日より約4分早いと教わったことを思い出した。
  • ところで、地球の公転軌道はほぼ円なのだが、正確には楕円であると分かってきた。
  • 楕円軌道上を移動する惑星は、太陽からの距離によって、角速度が変化する。つまり、季節によって一日の長さが変化してしまう。
  • そこで、1太陽日を1年間平均した、平均太陽日を1日とした。
  • さらに観測精度が上がると、平均太陽日でさえ、年によって変化していることが分かってきた。
  • その主な原因は、潮の満ち引きで海水と地殻が摩擦して、自転速度が低下することによる。
  • このように、科学の発達で物事が明らかになるに従って、より正確な定義を目指して変遷してきた。
  • でも、その根底にあるのは1太陽日が基準になっている。
  • 現在の基準となる1日の正確な定義は、このあとの項目に委ねる。

1年の定義

なるほど。

  • 地球が太陽の周りを1周(公転)する時間なのだが、何を基準に観測するかで、定義される値に若干の差異があるようだ。
  • 現在の世界で標準的に利用されているのは、太陽暦の一種であるグレゴリオ暦の1年 = 平均365.2425日。これは平均太陽年の365.242 192 64日(2000年1月の値)に近似している。
  • グレゴリオ暦の運用
    • 平年は365日。閏年は366日。
    • 西暦が4で割り切れる年は、閏年とする。
    • 但し、西暦が100で割り切れて、かつ400で割り切れない年は、平年とする。
    • 1年を12ヵ月に区分する。
      • 1・3・5・7・8・10・12月は、31日。
      • 4・6・9・11月は、30日。
      • 2月は、平年=28日。閏年=29日。
  • そもそも太陽とは、地球が太陽の周りを回る周期(平均太陽年)を1年とすることを目標に作られている。
  • 地球と太陽の位置関係は、季節や気象に大きな影響を与える。
    • 正確に知ることで、毎年繰り返される季節や気象の移り変わりを正確に予測できるのだ。
    • 古くは、ナイル川の氾濫時期を予測して、農作業の適切な時期を知るのに役立っていた。
  • 1年は、地球の自転と公転に基づく平均太陽日の日数で数えている。
  • 正確に観測すると、1年 = 365.242 192 64日と端数が出てしまうが、
  • 1年のどこか1日で端数の0.242 192 64日(6時間弱)増減させてしまうと、昼夜のリズム・生活リズムが乱れて非常に不便。(時差6時間は結構きつい)
  • そこで、グレゴリオ暦のような運用ルールを作って、端数が累積しておよそ1日分となったところで補正する仕組みになっているようだ。

1秒の定義

なるほど。

  • 上記までに見たとおり、本来は平均太陽日を基に1日、それを24分割して1時間、さらに60分割して1分、さらにさらに60分割して1秒、と定められていた。
  • しかし、観測精度が向上すると、平均太陽日は普遍的なものでなく、わずかに変動し続けていることに気付いてしまった...。
  • 基準となる時間が変動し続けているのはとっても不便。
  • そこで、一旦はより変動の少ない1太陽年の1/31,556,925.9747 と定義される。
  • しかし、太陽年を観測するのは手間がかかる。逆に太陽年を観測するために使っていた原子時計を基準にしてしまった方が効率的だった。

現在の定義は...

  • 1秒 = 基底状態におけるセシウム133原子の2つの超微細準位間の遷移に対応する放射が周期数9,192,631,770回維持される時間

(何のこっちゃ?)とにかく、原子時計によって1秒を厳密に定義しているのだ。上記を基に、現在は「秒」を基準に1日が定義されている。

  • 1分 = 60秒
  • 1時間 = 60分 = 3600秒
  • 1日 = 24時間 = 86400秒

うるう秒

なるほど。

  • 原子時計を基に決定される時間 = 国際原子時 (TAI)
  • 地球の自転を基に決定される時間 = 世界時(UT1)
  • 地球の昼夜のリズムに連動しているのは、世界時(UT1)。でも変動している。
  • 現在の基準である国際原子時 (TAI)は正確だけど、放っておくと昼夜のリズムとズレてしまう。
  • 極端な話し、時が経てば昼夜の概念が反転してしまう可能性だってある。それは困る...。
  • そこで、国際原子時 (TAI)と世界時(UT1)のズレを閏秒で調整している。

調整後の時刻を協定世界時UTC)と呼ぶ。

2036年問題と2038年問題

なるほど。

2038年問題
  • OSXのベースでもあるUNIXは、1970年1月1日 0時0分0秒(UTC) からの経過秒数で管理されている。
  • この経過秒数は、符号つき32ビット整数として扱われている。
  • 符号つき32ビット整数の最大値は、2,147,483,647秒。
  • つまり、2038年1月19日3時14分7秒を越えると、この値がオーバーフローしてしまうのだ。(数値の意味としては突然 -2,147,483,648 となってしまう)
  • その時、コンピュータ内部で日付がどのように判断されるのか?
  • 未知である。予測できない。たぶん正常に動作しない可能性大。
  • 今からおよそ27年後の心配ごとである。
  • ちなみに、ターミナルでdate -uコマンドを実行すると、現在のUTCが表示される。
$ date -u
2011年 2月 2日 水曜日 05時36分54秒 UTC
2036年問題
  • ネットワークな現在では、NTPサーバーで、NTP(ネットワーク・タイム・プロトコル)で接続したマシンの時刻合わせ(UTCによる)ができる。便利な時代になったもんだ。
  • ところで、NTP(ネットワーク・タイム・プロトコル)は、1900年1月1日 0時0分0秒(UTC)からの経過秒数で管理されている。
  • この経過秒数は、符号なし32ビット整数として扱われている。
  • 符号なし32ビット整数の最大値は、4,294,967,295秒。
  • つまり、あとは2038年問題と同じ仕組みで問題となることが予想されるのだ。
  • 今から25年後、2036年2月6日 6時28分15秒を越えた時の心配ごと。

昼の12時

なるほど。

自分の感覚
  • 正午とは、昼の12時のことである。
  • 午前とは、夜の0時0分0秒から12時間後まで。もっと正確に24時間方式で考えると、限りなく12時間後の11:59:59.999...まで。
  • 午後とは、昼の12時0分0秒から12時間後まで。もっと正確に24時間方式で考えると、限りなく12時間後の23:59:59.999...まで。
  • 昼の12時を1秒でも、もっと厳密に言えば1ミリ秒以下でも経過すれば、その時刻が午後であることは明白である。
  • 問題は境界の12時0分0秒ちょうどの時刻であるが、少なくとも12時0分1秒以降を午後とするなら、12時0分0秒も午後とした方が感覚的には自然だと思う。
  • だから午後12時と言われれば、正午12を感じる。(あくまでも自分の感覚では)
  • ちなみに、午後0時と表現されれば、それは正午であることが明白に感じるが、自分の日常感覚に午後0時はない。
  • 本来は12時間方式では厳密には12時というのはオーバーフローで、0時と表現すべきかもしれない。24時間方式のみ12時以降が存在するのだ。
  • でも、一般的な時計はほとんど12時間方式で、0時の位置は12時と表示されている。
  • シンデレラも夜中の12時(0時とは表現されず)に魔法が切れる設定になっていた気がする。
  • だから、0時とは言わず、多くの場合12時と表現してしまう。それが自分の自然な感覚。
    • 夜の12時の場合は、一日の始まりを意味するので0時という感覚もあるが、昼の0時は全くない。
法律による定義

ところが、法律による定義では、上記の自分の感覚は否定されてしまうのだ...。

  • 驚いたことに、日本で暦の定義をしている法律は、3つしか存在しないらしい。かなり古い法律である。
  • 午前と午後に関する記載は、明治五年太政官布告第三百三十七号の時刻表にある。
  • それによると、午前0時 = 午後12時 = 夜、午前12時 = 昼、と解釈できる。
  • つまり、正午 = 午前12時と言うことだ。自分の感覚とは違っている...。(ガーン)
  • ちなみに、自分の自賠責保険の終了期間は午前12時となっている。この午前12時は、どうやら正午のことらしい。
    • (契約会社に確認してはいないが)保険会社は法律に忠実なのであった。

結論

  • 法律的には、正午は午前12時である。
  • 但し、1秒、1ミリ秒でも経過したら、午後と考えるのが自然だと思う。
  • 午前12時・午後12時は紛らわしいので、昼の12時・夜の12時と表現した方が間違いが少ない。


果たして、子供には納得してもらえるのだろうか?何だか世の中のグレーな仕組みをさらけ出しているような気がする。