絵本にみる特殊な事情
だれしも、子供の頃の絵本の記憶というのは、少なからずあるものだと思う。そしてそれは、きっと楽しいイメージのものだと思う。最後に絵本を読んだのは、いつの頃だったか覚えているだろうか?最近、絵本を読んだことがあるだろうか?
自分の場合、ここ数年の絵本読書回数は凄まじい。絵本なので読書と言えるかどうか微妙だが。しかも朗読である。大人になってこれだけ絵本と向き合うと、子供の頃には思いもよらなかった、絵本という書籍の特殊性に気が付く。
絵がメイン
- 当然のことだが、絵がある。というより、絵がメインだ。だから絵本と呼ばれているのだけど。
- そして、文字はおまけである。文字は読まない。誰かが読んでくれる言葉を聞きながら、絵の世界を堪能するのだ。
- このスタイルは、まだ多くのイメージを知らない、文字も知らない、片言の幼児には、画期的である。
- 幼児は絵本を通して、新たな名詞を体験するのだ。(言葉の感覚を体感する)
繰り返し読む
- 文字主体の単行本・文庫本であれば...
- 通常は1度読めば満足する。
- 面白かったり、理解を深めるために、数回繰り返し読む場合も稀にある。
- しかし、せいぜい数回である。(中には何十回と繰り返し読むという方もいらっしゃるかもしれないが)
- ところが、絵本を繰り返し読む回数は凄まじい。
- おそらく、同じ本を軽く100回以上は読んでいると思う。
- 文字主体の本とは回数の桁が違う。
- しかも、1日に何回も繰り返す。いや、読み終わってすぐに「もっかい」攻撃がある。
朗読する
- 絵本は読み聞かせるという立場上、必然的に声に出して読むことになる。
- 稀に、読み聞かせる前に素早く黙読して、全体を頭に入れるということはあるかもしれないが、ほぼ朗読がメインである。
- また、朗読する時に棒読みは御法度である。
- 可能な限り感情移入して、抑揚を付けて読むほど幼児は喜ぶ。(最初は感情移入して読むことが、かなり恥ずかしいが)
- 声の抑揚をどのように付けるべきか考えるので、朗読は、絵本の世界をより深く理解する助けになるかも。
- 黙読では見えない世界が見えてくる?
呼吸
- 朗読はある意味スポーツかもしれない。
- 声を出して、何度も繰り返し読んでいると、予想外に苦しくなる。
- 息継ぎのタイミングを外すと、さらに苦しくなる。
- ある意味、カラオケで連ちゃんで歌い続けるのと似ているかもしれない。
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- 先日、数年ぶりにプールで潜水してみたら、25m息継ぎなしで到達できてしまった。絵本朗読の効果?
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操作感
- 絵本の操作は非常にシンプルかつ、優れている。
- ページをめくる。話を聞きながら絵を見る。この繰り返し。
- 幼児にとって最初は1枚ずつめくるのが困難だが、めくるという行為は大好き。
- 果敢にチャレンジして、いずれ確実に1枚ずつめくれるようになる。
- 表紙や背表紙のデザインをみて、字の読めない幼児でも読みたい絵本を特定できる。
- 電源は不要。絵が見える程度の明かりがあれば楽しめる。
画面
- 絵本は多くの場合、見開きでデザインされた絵が描かれている。
- 横長の絵本の場合、A4を横向きに2枚繋げた超ワイド画面になる。
- 縦長の絵本の場合、A4を縦向きに2枚繋げた超トール画面になる。
- ハイビジョンの16:9も遥かに及ばない超ワイド画面。
- Retinaディスプレイも見劣りするほどの、高精細な手書きイラスト。
- そして幼児はその世界に魅了される訳だ。
- iPadがRetinaディスプレイ化されても、到底絵本には太刀打ちできない。
- RetinaディスプレイなiPadを2台連動させる仕組みが必要である。
ロングセラーかつミリオンセラー
- 絵本は有名どころになると、超ロングセラーかつ超ミリオンセラーな書籍である。
- 自分が生まれるより前に発表された絵本が、読み継がれて現在まで売られている。驚異的である。
- トップは約40年で400万部以上である。年10万部以上コンスタントに売れている計算になる。
- たった20ページ前後の書籍である。絵本はすごい力を秘めている。
影響力
- ロングセラーかつミリオンセラーで、軽く100回以上は繰り返し読まれる。
- 絵本のページビューは、異常な多さだ。(絵本以外のどんな書籍もかなわない)
- それが幼児という多感な時期に繰り返される。
- 絵本が及ぼす影響力は、計り知れない。
反応と対話
- 絵本の良いところは、幼児の反応を見て、対話的に読み進められるところ。
- 繰り返し読んでいると、そのうち途中で様々な質問や感想を語りかけてくる。
- そうゆう時は、絵本を読むのは一時停止して、幼児との会話に重点を置いた方が良いのだと思う。
- 話しは全然違う方向に行ってしまうこともあるけど、時には絵本が途中のまま終わってしまうこともあるけど、それはそれで良いのだと思う。
- 対話しながら読むことで、幼児の意外な感性に教えられることもある。
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- 通常テレビは一方的なメディアなのだけど、幼児と一緒に見ながら楽しむことで、多少は対話的にもなる。
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ひらがな
- 幼児向けの絵本に漢字はほとんど使われていない。全部ひらがなが基本。(中には漢字が混じっている場合もあるけど)
- どうせ大人が読むんだから、漢字で書いてくれた方が読みやすいのに、と思うのだけど。
- ところが先日、ようやくひらがなを読めるようになった小学生が、幼児に絵本を読んでいる光景に出会った。
- なるほど、大人だけが読むとは限らないのだ、と納得してしまった。
おすすめ
- どんな絵本が良いかは、幼児の感性の違い、成長の度合いなどにより、一概にはこれが良いとは言えない。
- 年齢が幼かったり、絵本に慣れていないと、長いストーリーだと途中で飽きてしまい、最後まで読み切れないかもしれない。
- 大人から見て全く興味が湧かない絵本が、幼児には大ヒットだったりすることもある。
- そうは言っても、数年も絵本を読み続けていると、この絵本が好き、この絵本を読み聞かせたい、という大人の好みも出てくる。
自分が一押しなのは、なかやみわさんの絵本。
- 中でも、きりかぶ3部作と、そらまめくんシリーズは、傑作だと思う。
- 2、3歳ぐらいから(2歳だと最後まで読まないうちに飽きてしまうかもしれない)
- 4歳ぐらいから(少し長いストーリーなので絵本に慣れていないと、最後まで読めないかもしれない)
- なかやみわさんの絵本には、ちゃんとストーリーがあって、その中に伝えたいテーマ(道徳観)がある。
- 絵本を読む中で、そのテーマが幼児に自然と伝わる気がする。
- ストーリーがあるので、大人でも楽しめる気がする。
- 平易な言葉だけども厳選されていて、美しい日本語が表現されている気がする。
おすすめです。