その設定でバッテリーは本当に節約されているのか?

前回、バッテリーを節約する設定を探ってみたが、それぞれの設定の数値的な根拠はまったくない。すべてが自分の体感に頼っている。そして、数々のバッテリー節約術でも「この設定で節約になる」ということは書かれているのだが、一体どれほどの効果があるのか?その部分がほとんど書かれていない。

具体的な数値で示されているのは、本家iPhoneの性能表ぐらい。バッテリーの節約と利便性のバランスする設定を見つけるためにも、具体的な節約効果を知りたいのだ!その情報がなければ、自分で計測してみるしかない。

しかし、どうやって?MacBookならスクリプト書いて自動計測できそうなんだけど、同じことをiPhoneでやる術を知らない...。こうなったら、地道に、泥臭く、手作業で計測してみるしかないかも。やってみた。

利用環境

計測方法

  • バッテリー残量を見て、パーセント表示が減少した瞬間から、次に減少する瞬間まで、1%減少する経過時間を計測する。
    • 一般 >> 使用状況 >> バッテリー残量(%)=オン
  • バッテリー残量のパーセント表示が変化する瞬間を目撃するのは大変である。
  • 常に目を凝らして、じっとパーセント表示を見つめるしかないのだ...。
  • 何度も繰り返していると、次に変化する時間を予想できるので、予想時間の前後1分くらいに集中して見つめる。
  • そうは言っても、条件を変えると予想外のタイミングでバッテリー残量が減少することもある。気を抜けない...。
  • ユニクロックなど、タイミングを計る曲をBGMに、iPhoneのバッテリー残量を頻繁にチェックするのだ。
    • ピッ、ピッ、ピッ、ポーンのタイミングとかで。
  • それでも変化する瞬間を見逃してしまうことはある。
  • その場合は、変化に気付いた時間を記録して、次の変化を予想して計測する。
  • そして、2%減少する経過時間を計測して、その平均を求めた。

 

計測時の注意点

とにかく、比較したい設定以外の条件は、完璧に同じ条件にしておく必要がある。

  • iPhoneに表示されている画面の違いで、バッテリー消費も変化することがある。
    • 画面にダイナミック壁紙が見えている状態と、見えていない状態。
    • 画面に秒針が動く時計アイコンが見えている状態と、見えていない状態。
    • 画面にコントロールセンター表示中と、非表示。
  • iPhoneが静止して置かれている状態と、手で持って動かされている状態でも条件は違う。
  • バックグラウンドでフォトストリームの同期が行われているかもしれない。
  • バッテリー充電直後は、最初の1%が減少してから計測を開始する。
    • なぜかバッテリーが最初に1%減少するまでは、異常に長持ちするので。
  • 明るさの自動調節はオフにしておく。
    • 壁紙/明るさ >> 明るさの自動調節=オフ

主要な条件

  • 明るさ=0%
  • Wi-Fi=オン
  • Bluetooth=オフ
  • モバイルデータ通信=オフ
  • キャリア >> 自動=オフ
  • 壁紙=静止画
  • 視差効果を減らす=オン
  • Appのバックグラウンド更新=オン、RunKeeperのみ=オン
  • iTunes&App Store >> 自動ダウンロード >> アップデートのみ=オフ
  • 一般 >> 自動ロック=しない 設定にして計測

明るさ

明るさ	1%減少するまでの経過時間
100%	4:00
100%	3:46
 50%	5:40
 50%	5:40
 25%	6:47
 25%	6:44
  0%	7:49
  0%	7:59(この計測のみ、明るさの自動調節=オン)
  0%	8:10(この計測のみ、明るさの自動調節=オン)
所感
  • 明るさが25%減少すると、およそ1分の節約効果がある。
  • 明るさ0%は、明るさ100%の2倍長持ち。
  • 同じ明るさが維持されるなら、自動調節のオン/オフの違いによる差は、ほとんどない。

Bluetooth

Bluetooth	1%減少するまでの経過時間
off		7:21
off		8:47
on		8:27
on		8:25
off		7:48
off		8:03
on		8:28
on		8:07

on		6:36
on		7:10
off		7:22
off		6:29
所感

バッテリー節約でBluetoothをオフにするのは、iPhone4までの古い情報。
iPhone5以降はAirDropにも対応しているので、もはやBluetoothは常時オンが基本の時代なのだ!

Wi-Fi

  • Wi-Fiのオンについては、意図的なアプリの操作はせず、余分なデータ通信が発生していない状態で計測。
    • 但し、バックグラウンドでは、多少のデータ通信が発生していると思う。
    • Wi-Fiネットワークへは、常に安定して接続した状態で計測している。
Wi-Fi		1%減少するまでの経過時間
on		7:56
on		7:30
on		7:24
off		8:07
on		6:54
off		8:09
on		7:10
所感
  • データ通信が発生していなければ、Wi-Fiがオンでも、バッテリーはそれほど消費されない。
  • iPhone4Sにとっては、3Gのモバイルデータ通信か、Wi-Fiへの接続は生命線である。
  • 自分の環境では、現在はWi-Fiをメインに使っているのでオフにすることはできない。
  • また、iPhone5以降でAirDropを利用するためには、Wi-FiBluetoothがオンになっている必要がある。
  • 今回は未計測だが、Wi-Fiがオンの状態で、Wi-Fiの圏外、あるいはネットワークに接続しない状態でのバッテリー消費量も気になる。
    • おそらくWi-Fiネットワークをサーチし続けることで、スリープ中のバッテリー消費が大幅に増えると思う。

キャリア >> 自動

キャリア >> 自動	1%減少するまでの経過時間
on		6:39
on		6:52
off		7:25		
off		7:39
off		7:44
on		6:34
on		6:38
所感
  • キャリアの設定には今まで無頓着で、ずっと自動=オンにしたままだった。
  • 測定結果を見る限り、およそ1分の差が発生している。

スリープ中も含めて常に影響すると思われるので、キャリア >> 自動=オフにする効果は大きい!

日付と時刻と時間帯

測定環境:プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス >> 時間帯の設定=常にoff
一般 >> 日付と時刻 >> 自動設定
on		7:05
off		7:06
on		7:23
on		7:00
on		6:31
測定環境:一般 >> 日付と時刻 >> 自動設定=常にon
プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス >> 時間帯の設定
on		7:01
on		7:09
off		7:48

on		6:29
on		6:46
off		7:23
off		7:00
off		6:31

on		6:29
on		6:46
off		7:23
off		7:00
off		6:31
所感
  • 一般 >> 日付と時刻 >> 自動設定は、「時間帯」と「日付と時刻」を自動設定する項目である。
  • 日付と時刻の自動設定(NTPサーバーを使ってる?)だけなら、バッテリー消費にはほとんど影響しないと思われる。
  • 時間帯の設定で、位置情報サービスを利用すると、その分だけバッテリー消費が多くなるようだ。
  • 日付と時刻の解説曰く「位置情報サービスをオンにすると時間帯の自動設定の正確性が向上します」
  • よって、位置情報サービスを利用しなくても、時間帯の自動設定は可能なようだ。
  • 自分はほとんど日本国内でしか使わないので...
    • プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス >> 時間帯の設定=オフ
  • 時刻は秒単位までぴったり合って欲しいので...
    • 一般 >> 日付と時刻 >> 自動設定=オン


  • どうも測定値がばらついているのは、測定中に位置情報サービスが利用されたかどうかの影響を受けている気がする。
  • プライバシー >> 位置情報サービス=オフ にして計測するべきかもしれない。

やってみた。

プライバシー >> 位置情報サービス

  • プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス=すべてオン の状態で計測。
  • 計測中にアプリは起動していないので、これはつまり、システムサービス=すべてオン/すべてオフ のバッテリー消費の比較である。
位置情報サービス	1%減少するまでの経過時間
off		6:24	(1)システムサービスをオフにする余分な操作あり
off		7:08	(2)
on		6:05	(3)システムサービスをオンにする余分な操作あり
on		6:45	(4)
on		7:26	(5)
off		6:46	(6)システムサービスをオフにする余分な操作あり
off		7:05	(7)
所感
  • 位置情報サービスがオンであっても、アプリやシステムが位置情報サービスを利用しない限り、余分なバッテリー消費は発生しないと思われる。
  • 位置情報サービスはオン/オフの変わり目(1)(3)(6)にバッテリー消費が多くなるのは、オン/オフする操作のためと思われる。
  • システムサービスをオンにした直後(3)は、オンにする操作+位置情報サービスの初期動作か?
  • 計測結果を見る限り、位置情報サービス >> システムサービス=すべてオン にしたからと言って、バッテリー消費にはほとんど影響していない。
    • 強いて言えば、オン/オフ操作の後2番目の測定値で比較すれば、オン/オフには20秒の差があると読み取れるが、
    • (4)と(5)を平均するとおよそ7:05となって、オン/オフの差はほとんど発生していないことになってしまう...。

プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス=すべてオン によるバッテリー消費は、ほとんど発生しないと思われる。

  • ちなみに、プライバシー >> 位置情報サービス >> システムサービス=すべてオフ にしてもデメリットはほとんど感じなかった。
  • システムサービスが位置情報を利用した時は、確実にバッテリーが消費されるはずなので、システムサービスのみすべてオフにしても良さそう。
    • その後、システムサービス >> コンパスの調整のみオンにしておいた。(コンパスは正確であって欲しいと思ったので)

コントロールセンター

コントロールセンター	1%減少するまでの経過時間
表示		5:02
非表示		8:07
非表示		7:56

表示		5:26
表示		5:03
非表示		7:01
表示		5:03
非表示		7:05
所感
  • コントロールセンターを表示し続けると、想像以上にバッテリーが消費される。
    • コントロールセンター下の画面がぼやけながら透けて見える効果を演出しているので、定期的に再描画が行われているのかもしれない。
    • 一般 >> アクセシビリティ >> コントラストを強くする=オン によって、バッテリー消費は抑えられるかも。(計測はしてないが)
  • しかし、ショートカット操作として短時間表示されるだけなので、その影響はごく僅かと思われる。

Siri

耳にあてて話す	1%減少するまでの経過時間
on		7:24
on		6:09
on		7:12
on		6:32
on		7:04
off		7:26
off		6:50
所感
  • Siri >> 耳にあてて話す オン/オフの違いによる差は、ほとんどない。

時計アプリのアイコン

時計アイコン	1%減少するまでの経過時間
表示		6:29
表示		6:39
非表示		7:28
所感
  • iOS7で時計アプリのアイコンの中で、リアルタイムに秒針まで動いているのを発見して感動したものだが、
  • やはり、常時画面の中で何かが動くということは、それなりのCPUパワーが必要で、それに伴う電力消費が発生するのだ。
  • しかし、iPhoneを使っていて、時計アプリのアイコンをじっと見つめていることは皆無である。
  • ほとんどの時間は、何らかのアプリを起動して、そのアプリの画面を見ている状態になるだろう。
  • 時計アプリのアイコンが見えていなければ、余分なバッテリーは消費されない。
  • 結局、通常の使用においては、時計アプリの秒針によるバッテリー消費なんて問題にならない。
    • 但し、今回のようにバッテリーの消費量を厳密に測定しようとした時は、時計アプリのアイコンの影響が気になってくる。
  • 以下の測定結果は、まだ測定方法が確立できずに、試行錯誤していた時のもの。
  • 減少率の確認を1分単位で行っていたので、測定誤差が1分前後あると思われる。
  • しかし、測定結果の辻褄は合っているので、測定結果としては活用できると思う。

視差効果

  • 視差効果なし = 一般 >> アクセシビリティ >> 視差効果を減らす=オン
  • 姿勢変化は、iPhoneを手で持って、およそ2秒ごとに水平と垂直に動かし続けた。
1時間当たりの減少率	条件					測定時間	減少率
10%		静止画、視差効果なし				 24分	4%
10%		静止画、視差効果あり、姿勢固定			 12分	2%
20%		静止画、視差効果あり、姿勢変化			  9分	3%
所感
  • 視差効果ありによるバッテリーの消費は大きい。その差2倍もあるが...
  • 視差効果ありでもiPhoneの姿勢が固定された状態なら、余分なバッテリー消費は発生しない。
  • iPhoneの姿勢が変化して、視差効果によって画面表示が変化するときに、バッテリー消費が発生する。
  • また、姿勢が変化しても、視差効果の演出がなければ、余分なバッテリー消費も発生しないはず。
    • 視差効果が確認できるのは、壁紙やSafariのタブ切替の画面だけ。
  • 今回の計測のように、激しくiPhoneの姿勢を変化させることも稀である。
  • よって、通常の使用においては、バッテリー節約効果はあまり期待できないと思っている。

ダイナミックと静止画

1時間当たりの減少率	条件					測定時間	減少率
10%		静止画、視差効果なし				 24分	4%
15.8%		ダイナミック、視差効果なし、壁紙が見える状態	 19分	5%
9.2%		ダイナミック、視差効果なし、壁紙が見えない状態	 13分	2%
所感
  • ダイナミック壁紙を設定することによるバッテリー消費も大きい。その差1.5倍程度あるが...
  • 視差効果と同様、壁紙が見えていなければ、無駄なバッテリー消費は発生しない。
  • よって、通常の使用においては、バッテリー節約効果はあまり期待できない、と思われるが、
  • 視差効果なし、静止画を設定など、小さな節約も積み重ねることで、大きな成果を生むかもしれない。
  • 結局、以下の設定で運用している。
    • 一般 >> アクセシビリティ >> 視差効果を減らす=オン
    • 壁紙/明るさ >> 壁紙を選択=静止画

プッシュとフェッチ

  • スリープ中のバッテリー消費を計測している。
  • 計測中は、メールをほとんど受信していない状態であった。
1時間当たりの減少率	条件					測定時間	減少率
1.3%		2プッシュ、スリープ				232分	5%
0.7%		4フェッチ手動、スリープ			440分	5%
2.7%		4フェッチ15分、スリープ			 67分	3%
1.3%		2フェッチ15分、スリープ			238分	5%
所感
  • バッテリー節約においては、よく悪者にされるプッシュ通知であるが、計測してみるとそれほどバッテリーを消費する訳ではない。
  • ほとんどメールを受信していないという条件なら、「プッシュ」と「15分ごとのフェッチ」のバッテリ消費量は、ほぼ同じなのだ。
    • でも、頻繁にメールが届く環境だと、プッシュもフェッチもバッテリー消費はもっと増えると思う。
    • 例えば、5分ごとに新着メールが届く環境でそれぞれのバッテリー消費を測定したいが、面倒くさくて未測定。
  • もちろん「手動のフェッチ」つまりメールを起動した時だけメールチェックするのが最も省電力なのだけど、
  • それではiPhoneの利便性が失われるし、時間差によってせっかくのチャンスを逃してしまうかもしれない。
    • イデア:おやすみモードにした時は、すべてのメールチェックが「手動のフェッチ」になれば良いと思った。
    • イデア:そして、おやすみモードを解除したら、一斉にメールチェックを始めるのだ。
  • やはり、時間差のない通知をくれるプッシュは魅力的だ。
  • プッシュ設定ができるメールはプッシュに、フェッチは重要度に応じて手動か、1時間ごとに設定した。
  • また、iPhoneで受信すべきメールアカウントを厳選して、無駄なメールチェックが発生しないようにした。

トリビア

  • iPhone4S以降なら、Bluetoothは常にオンにしても、バッテリー消費には影響しない。
  • キャリア >> 自動=オフ、によるバッテリー節約効果は意外に大きい。
  • 明るさ0%は、明るさ100%のおよそ2倍長持ち。
  • 時間差のないメールのプッシュ通知は魅力。プッシュが特別バッテリーを浪費する訳ではない。
  • 画面に変化が起こらなければ、バッテリー消費には影響しない。(視差効果あり、ダイナミック壁紙、時計アイコン等において)
  • 位置情報サービスがオンであっても、それが利用されない限り、バッテリー消費には影響しない。
  • 位置情報サービスのシステムサービスは、すべてオフにしてしまってもデメリットはほとんどない。

以上は、1個人の計測結果から導いた結論。どなたか追試して欲しい。