幼児における自転車の乗り方
自転車の乗り方を言葉で説明するのって、難しい。(たぶん不可能だと思う)強いて言えば「倒れそうになった側に素早くハンドルを向けて、バランスが戻ったらハンドルを戻す」と言える。しかし、この一言を聞いただけでは、決して乗れるようにはなれない。
そもそも自分がなぜ自転車に乗れているのかさえ、正確には理解できていない。自分自身の乗り方も分かっていないのに、それを幼児に教えようとする。幼児は素直だから、言われたとおりのことをする。何度も転びそうになりながら、試行錯誤を繰り返し、とうとう倒れないコツみたいなものを幼児自身が掴んで、自然に乗れるようになる。
結局自分は何を教えたのかというと、何も教えていない。幼児もどうして乗れるようになったのか、理由は分からない。自転車に乗れるようになるとは、不思議な現象である。自転車に乗れなかった幼児が、乗れるようになるまでの経過を書き残しておこうと思う。
ペダルを漕げない
- 年齢にもよるが、2、3歳の幼児では、ペダルを漕ぐことが初めてな場合がある。
- 初めての場合は、まず漕げない。
- 漕ごうとしても、前に進まない。
- 前を見ず、ペダルと足下ばかりを見ている。
ペダルを漕ぐために
- 補助輪付き自転車でペダルを漕いで進む、という練習はありかもしれない。
ペダルのない自転車
- ストライダーなど、ペダルのない自転車もある。
- 両足で地面を蹴って乗るタイプの自転車である。
- これなら、ペダルを漕げなくても乗れる。
- しかも両足で蹴って乗るおもちゃの自動車の延長で乗れる。
行動を分ける
- 自転車に乗るとは、いくつかの動作が組み合わさった、複合動作である。
- 誰だって、いくつものことを同時に行うのは難しい。
- 最初は動作を分けて練習した方が抵抗なく始められる。
自転車に乗る動作
- 自転車に股がる。
- 両足で蹴って前に動かす。
- ハンドルを動かして左右のバランスを保つ。
- ペダルを漕ぐ。
- 体重移動して目指す方向に進む。
- ブレーキをかける。
- 立ち漕ぎする。
- 最初は1〜3までを練習する。
- ストライダーのようなペダルなし自転車があれば最高だけど、
- しっかり両足を着ける自転車なら同じように練習できる。
- 膝を曲げる余裕があるくらい小さな自転車の方がいい。
- 最初はすぐに左右どちらかに傾いて倒れそうになる。
- 倒れないように左右交互に足を動かして、前に進むようにする。
- 前に進むことに慣れてきたら、左右の無駄な傾きをなるべく少なくするようにする。
- さらに慣れてきたら、両足で蹴って、なるべく長い時間両足を上げて乗っているようにする。
- 5秒くらい両足を上げて乗れるようになれば、ゴールは近い。
- ペダルを漕いでバランスを崩さなければ、どこまでも進めるはず。
- 漕ぎ出しだけはバランスを崩しやすいので、最初はそこだけ補助して自信をつけてもらう。
- 1〜4までできるようになると、もう幼児は楽しくてしょうがない。
- 暇さえあれば自転車に乗りたがり、5〜7は勝手に修得してしまう。
個人差
- できる子は、数時間で乗れるかもしれない。できない子は、数ヶ月かかるかもしれない。
- でも自転車を嫌いにならずに、乗れると信じて練習していれば、たいていは1週間以内にたぶん乗れる。
- 長時間練習しても乗れないなら、無理せず、毎日ちょっとずつ練習した方がいい。
- その日は全然乗れなくても、次の日になると別人のように上達していることがよくある。
- ちょっとでもうまくなったら、かなり大袈裟に褒める。
ブレーキ
- 乗れるようになったからと、道に連れ出すと、止まれない幼児がいる。
- ごめん、ごめん、ブレーキの掛け方を教えていなかった。
- しかし、ブレーキの掛け方を教えても、やっぱり止まれない...。
- なるほど、ハンドルだけをぎゅっと握っているから、ブレーキをかけられないのだ。
- ブレーキに指を掛けながら、ハンドルを握るんだよ。
- しかし、常にそうやって握るには、手が小さ過ぎることに気付いた...。
- しばらくは道には出られない。公園で乗ろう。坂道は要注意。
実際の経過
- 補助輪付きで自転車の楽しさを満喫する。(1年くらい)
- ペダルを漕ぐのはうまくなった。
- 2kmくらい走れるようになった。
- 補助輪を外してみた。乗れない現実に愕然とする幼児。
- また補助輪付けて、とせがまれる。
- しかし、補助輪は着けず。練習しようと誘う。
- 渋々練習を始めるが、乗れないのですぐに諦めてしまう。
- しかし、前日は全然だめだったハズなのに、翌日にはバランスとるのがうまくなっている。
- ゴールデンウィークに集中的に練習(毎日30分くらい)すると、3日で乗れるようになってしまった。