玄関の鍵交換

先日の夜、家に着いたら玄関の前で家の女子たちが立ち往生していた。どうして中に入らないのかと訊くと、鍵を開けられないのだと言う。そんなバカな!と試しに自分で鍵を開けようとして唖然とした...。鍵穴部分のシリンダーが鍵の中に押し込まれたまま手前側に出て来ない。シリンダーが凹んだ状態では、鍵を差し込んでも鍵の凹凸と合わせられないので、その状態では鍵を入れることも、回すこともできないのだ。困った...。

正常な状態
凹んだ状態
この時は鍵が刺さっていないのに凹んでいた

何とかして凹んだシリンダーを引っ張り出そうとしたが、工具はすべて家の中。できることは限られていて、鍵を無意味にガチャガチャしてみるとか、玄関の戸をドンドン叩いてみるとか。しかし、凹んだシリンダーが飛び出してくる気配はまったくない。
15分経過。このままここで何やっても無駄な気がしてきた。諦めも肝心。しかし、鍵屋さん呼んで1万円コースというのもちょっと悔しい。という訳で、近所の実家に行って、二段梯子を借りてきた。2階のベランダに登れれば、窓から家に侵入できる当てがあった。暗闇の中、2階のベランダの柵を乗り越え、どうにか家の中に入れた。玄関の戸は中からも簡単には開けられそうもなかったので、本日は全員1階の窓から家に入って、事なきを得た。

どうしてこうなった?

  • そういえば最近、玄関の鍵の動きがすこぶる悪かった...。
  • 鍵は合って奥まで刺さるのだけど、なかなかシリンダーを押し込めない。
  • どうにか押し込めたとしても、回転させようとすると何かに引っかかった感じがして、なかなか回らない。
  • 引戸に体重をかけつつ、きっちり閉めながら鍵を操作すると、どうにか開け閉め出来た。
  • コツさえつかめば、無用な力をかけずに鍵を開け閉めできる。
  • 自分が鍵を開け閉めする時は、無理な力で操作する事はないので、騙し騙し使えていたのだが、
  • 家の女子全員に、このコツを徹底させる事はできなかったようだ...。
  • そして、先日の夜の家に入れない事件となってしまったのだ。

もっと早く、対策しておくべきだった。

引戸の鍵の調整

  • 自宅の玄関の戸は引戸である。
  • 構造としてはアルミサッシの2枚窓と同じ。
    • クレセント錠で閉める窓と同じ構造。
  • 2枚の引戸が2本のレールにそれぞれ乗って、左右に動く。
    • 「引き違い戸」と呼ばれるらしい。
  • 戸を閉めた時、中央で重なる戸枠の部分に鍵がある。
    • 「引き違い錠」と呼ばれるらしい。
  • 鍵を閉めると、一方の戸枠からレ形状のフックが出て、他方の戸枠の穴に引っかかる仕組み。


  • 調べてみると、レ形状のフックが、目指す穴に真っ直ぐ入れば無駄な力不要で、鍵を開け閉めできる。
  • しかし、2枚の引戸が中央で重なるという構造上、その重なり方が微妙にずれた時、スムーズに開け閉め出来なくなるのだ。
    • 長年の開け閉めによる戸枠の歪みとか、地震などによる家全体の歪みなどが影響するのかもしれない。
  • つまり、引き違い錠は、フックの中心点と穴の中心点を、ぴったり重なる位置に合わせておく必要があるのだ。
  • その調整をするために、引き違い錠には調整用の小さなピンホールがある。
  • 玄関の中から外に向けて、そのピンホールに真っ直ぐなピンを刺す。
    • ピンは、目玉クリップを伸ばしたもので代用した。
  • そのピンが2枚の引戸を貫通するように、鍵の位置を調整するのだ。
合っていない
NG
貫通した状態
OK
  • 先日開けられなかった玄関の鍵は、引き違い錠を固定するネジを緩めてから解錠すると、無事開けることができた。
  • その後、さっそく上記の位置調整を試してみたが、ピンが2枚の引戸を貫通する気配がまったくない...。
    • そこで、2枚の引戸の隙間から覗いて、ピンの上下の高さを確認した。
    • また、ピンの先端に朱肉を付けて、横位置のずれも確認してみた。
  • 暫しの試行錯誤を経て、どうにかピンが貫通する位置を探り当てられた。
  • ピンが貫通した状態で、引き違い錠のネジを締めて固定することで、位置調整は完了する。
  • 調整後、鍵を開け閉めしてみると...

素晴らしい!今までにない軽い操作感!

決意

  • これで当分締め出されることはなさそうだけど、若干の引っ掛かりはまだ残る。
    • まったくストレスのない滑らかな動きには、なっていない...。
  • おそらく、長年の使用と無理な力をかけた操作で、内部の機械の動きが悪くなっているのだと思う。
  • そもそも取っ手側にある鍵は数年前に壊れたまま。内側から開け閉め出来なくなっていたのだった。

玄関の鍵を交換するなら、今でしょ!

鍵の型番

  • 戸の内側には「TOSTEM エルミナ 8060」が確認できた。

  • 鍵ユニットに「MIWA SL83」が確認できた。

  • さっそく発注すると、鍵ユニットは次の日に届いた!
  • 検索エンジンの性能と物流の早さによって、Webの通販=自分用の部品の倉庫のように感じてしまう。

工具

  • 使った工具は二本のドライバーのみ。
    • +ドライバー
    • −ドライバー

交換

戸先錠(取っ手部分の鍵)
  • 内側から取っ手のネジ(2本)を外した。
  • ネジを外すと、外側の取っ手も押さえがなくなるので落下してしまう。
  • 内側だけでなく、外側の取っ手も手で押さえながら作業した方がいい。

  • 両側の取っ手を外すと、鍵ユニットだけが内部に残った状態になる。

  • 鍵ユニットもネジ(2本)を外せば簡単に外せる。

  • すべて外した状態。

  • はさみナットも付属していたので交換した。
  • この時向きに注意。
    • 大きな穴の開いた平らな面をこちら側に向けて、
    • ネジ山を切ってある小さな穴を向こう側に向ける。


  • あとは逆の手順で、新しい鍵ユニット、新しい取っ手を組み付ければOK。
  • 最後に、レ形状のフックが壁側のフック穴中央に入るように調整した。
  • 白いボタンを押しながら、戸が開いた状態で鍵を閉めてフックを出しておき、
  • ゆっくりと壁に接するまで閉めて、レ形状のフックとフック穴の合わさり方を確認した。

  • もしズレていたら、フック穴のネジを緩めると位置を調整できる。
    • ネジを外す必要はない。緩めるだけでOK。
  • 引戸には数ミリの遊びがあるので、鍵を閉める時には押す力によって調整時より若干位置がずれる。
  • そのズレを考慮して、レ形状のフックはなるべくフック穴中央に位置するようにしておいた方がいい。
    • この時はフック穴を若干右に動かす調整をした。


召し合わせ錠(中央の重なる部分の鍵)
  • 召し合わせ錠の構造は若干複雑。
  • 外側の戸は、フック穴と鍵穴を備えている。
  • 内側の戸は、レ形状のフックと鍵の操作レバーを備えている。
    • 以下の写真は、左が外側、右が内側。

  • 鍵を押し回すと、四角い棒が出っ張り、向こう側のローターを回転させる。
  • それによってレ形状のフックが出て、フック穴に噛み合わさって鍵が締まる。
外側の戸
  • 外側の戸の鍵ユニットから取り外した。
  • 鍵穴周囲の枠をマイナスドライバーでこじって取り外した。

  • その後、内側からネジ(3本)を緩めて取り外した。

  • 一番上のネジは取り外せない。緩めるだけ。
    • ネジが外れないように先端が潰れている。
    • もし外れてしまうと、アルミサッシ内部に落下して途方に暮れることになる。
  • 中央と下側のネジは取り外す。
  • 三つ叉のネジは触る必要なし。
内側の戸
  • 内側の戸は、取っ手部分のネジ(2本)を取り外すだけ。
  • ここまで作業できたら、難しいことは何もない。

組み付け
  • あとは逆の手順で、新しい鍵ユニットを取り付けるだけ。
  • 但し、二つの鍵ユニットの重なり位置を調整する必要があるので、ネジは仮締め程度にしておく。
  • また、鍵穴周囲の枠もまだ取り付けない。その方が位置調整しやすい。
  • 鍵交換キットには、位置調整用のピンが付属している。
  • 最初にやったようにピンが根元まで貫通するように、位置調整するのだ。

  • その後、ピンを貫通させたまま、ネジを本締めする。
    • ネジを締める時は、ネジの回転力でも位置がずれることがあるので注意する。
    • 一つのネジを一気に締めるのではなく、二つのネジを少しずつ増し締めしていく。
  • 以上の作業を完了させると...

感動的に滑らかな鍵となった!

  • まったく引っ掛かりを感じないスムーズな操作感。
  • カシャンと軽快な音を立てて、鍵を操作する感触に心地良さを感じる!
  • 今までの鍵のストレスは皆無となった。無駄に開け閉めしたくなる...。