違反と合法の境界(道路交通法 補習)

幸運にも駐車違反の弁明書が認められたが、このまま良かった良かったで終わらせてしまうと、せっかく法律に対する感度を高めた脳が、半年後には綺麗さっぱり忘れてしまい、同じことを繰り返し、同じことを調べ直すことになりかねない。

遅延勉強法という考え方もある。(すごく同意)必要は発明の母という、ことわざもある。(何も発明していないが...)忘れないように要点をメモしておくことにした。

ちなみに、このメモは路上駐車を推奨する目的ではない。出来ることならちゃんとした駐車場に停めたいと、常日頃思っている。しかしながら、車を運転していると、目指す駐車場に停められず、他の駐車場を探すも見つからないことも稀にある。そんな時、他人への迷惑最小限に、かつ合法的に駐車する方法を知っていれば、きっと役立つことがあるはず。

また、駐車違反に限らず、法律を知ってそれを活用できれば、より快適に日々の生活を送れるはず。今の法律脳の状態をキープしておきたい。

駐車禁止の標識の効力が及ばない場所

  • 路側帯の中は、駐車禁止の標識の効力が及ばない。たとえ駐車禁止の標識があっても、以下の条件をすべて満たしていれば合法的な駐車となる。
    • 車が路側帯の中に完全に収まっていること。
    • 車は進路方向を向き、道路と平行に駐車されていること。
    • 車の左側に75cm以上の余地があること。
    • 路側帯の標示は、白実線1本であること。
    • 路側帯の左側に、歩道がないこと。
    • 道路交通法 第四十五条 1項の 一〜五号 で定義される駐車禁止場所でないこと。(要約するとおよそ以下の場所)
      • 右記の1m以内の部分は駐車禁止:火災報知器
      • 右記の3m以内の部分は駐車禁止:自動車の出入口
      • 右記の5m以内の部分は駐車禁止:消防関連施設(消防用機械器具の置場・防火水槽、消火栓、指定消防水利の標識、消防用防火水槽の吸水口)

路側帯の定義

  • 路側帯らしき場所の左側に歩道がある場合、その場所は道路交通法上、路側帯と見なされず、車道として扱われてしまう。(駐車禁止の標識の効力が及ぶ)
  • 白破線+白実線で標示される路側帯は、駐停車禁止の路側帯。
  • 白実線+白実線で標示される路側帯は、歩行者用の路側帯。
  • 高速道路(あるいは自動車専用道路)の左側の部分は路側帯ではない。

路側帯のようなもの

路側帯については、以下のページで、法律と判例を組み合わせて解釈し、これ以上ないほど詳細に語られている。路側帯に限らず、法律を解釈するとはどういうことなのか理解できる。(と〜っても参考になりました。感謝です!いつか自分でもこのように解釈できるようになりたいものです。)

標識と標示

  • 道路標識とは看板で、道路標示とは路上のペイントと理解している。

その他の気になる道路標識

  • 区間標示のない標識は、そこが区間内であることを意味している。(←→と同等)
  • それでは、その道路に区間内を標示する駐車禁止の標識が一つでもあれば、その道路はすべて駐車禁止になってしまうのだろうか?
  • 反対車線の駐車禁止の道路標識は、反対車線を規制するものであって、自分が走行中の車線には効力が及ばない。

その他の気になる道路標示

  • 歩道の縁石に黄色破線のペイントは、駐車禁止の道路標示。駐車禁止標識と同等の効力がある。
  • 歩道の縁石に黄色実線のペイントは、駐停車禁止の道路標示。駐停車禁止標識と同等の効力がある。
  • 路側帯の中が緑色でペイントされていると、歩行者用の路側帯の意味らしい。法的な効力は不明。
  • 路側帯の中が青色でペイントされていると、自転車が通行する場所らしい。法的な効力は不明。

確認の手引き

法律の階層

条・項・号・号の詳細
  • 条は、その法律の中でシーケンシャルかつユニークな番号*1で管理される。道路交通法 第oo条と指定すれば、条文が特定される。
  • 項・号・号の詳細については、それぞれの階層でシーケンシャルかつユニークな番号で管理される。
    • 項はアラビア数字で、号は漢数字で表現される。(例:「2項」であれば、単に「2」と記載される)
    • 項のアラビア数字の1は省略される。
    • 号の詳細についてはイ・ロ・ハ等の記号で管理される場合もある。
編・章・節・款・目
  • 法律は条が基本単位であるが、定義される内容ごとに条をグループ化することがある。
  • ちなみに道路交通法は、章と節でグループ化されている。

道路交通法の読み方

  • 第ー章 総則で基本的な言葉の意味・範囲を定義している。曖昧な日本語の意味をここで統一している。
  • oo等の「等」は重要。そこに何が含まれるのか正確に理解する必要がある。
  • 条文には見出しがあり、何についての定義かが一言で表現されている。
  • 条文は、途中で括弧括って特定の条件を別記していることが多い。最初は括弧を読み飛ばして大意を理解して、その後括弧内の特定の条件を考慮すると読み易くなる。
  • 条文の定義の詳細は、別の法律に委ねられることもある。(Rubyでいうデリゲートdelegateっぽい。)
    • その法律がどこにあるか素人には分かり難い。
    • しかし、関連する法律にはすべて目を通す必要がある。(特定の条件で全く別の解釈になる可能性もあるので。)
  • 解釈が分かれそうな場合は、過去の判例が役に立つ。

知識と勇気を与えてくれたページ

上記文中のリンクと以下のページからは、素晴らしい知識と勇気を頂きました。感謝です!

所轄署へ駐車禁止場所を確認してみた

弁明は認められたが、今後のために、今回駐車した場所が駐車禁止かどうか、所轄署の判断を確認するため、問い合わせの電話を入れてみた。(所轄署の代表電話)要約するとおよそ以下のようなやり取りがあった。

  1. 自分:恐れ入りますが、駐車禁止場所の確認をしたいのですが...。
  2. 代表:えーと、担当部署に変わりますので、少々お待ちください。
  3. 自分:はい。
  4. 担当:もしもし、お電話かわりました。
  5. 自分:恐れ入りますが、駐車禁止の場所かどうか、確認したいのですが。
  6. 担当:場所はどこですか?
  7. 自分:OO公園沿いの路側帯です。
  8. (自分と担当でお互い話しながら、暫し確認中...)
  9. 担当:ああ、あの場所ですね。重点取締区域ですし、駐車禁止の標識も設置されているはずです。
  10. 自分:公園沿いには幅が広い路側帯があるのですが、その中に停めてもダメですか?
  11. 担当:基本的にそうゆうことは教習所で習ってるはずですから、自分で確認してもらえばわかるのでは?
  12. (ちょっとトゲのある言い方をされ、カチンと来る。はい、自分は人間できていません。)
  13. 自分:駐車違反になる場所には停めないようにしたいので確認しているのですが、確認できないのですか?
  14. 担当:停め方にもよります。
  15. 自分:車が路側帯に完全に収まるようにします。
  16. 担当:トラックですか?
  17. 自分:5ナンバーの乗用車です。左余地も75cm空けます。
  18. 担当:法律的には左余地が0.75mあれば違反とはなりませんが、だからといって、駐車して良いとはここでは言えません。基本的に車は駐車場に駐車してください。
  19. 自分:基本的には駐車場に駐車したいんですが、近くに無い場合もあります。平日、OO公園前の駐車場は閉鎖されてしまうのですが、近くに利用できる駐車場はありますか?
  20. 担当:だからといって、道路に駐車して良いことにはなりません。
  21. 自分:車は動かしたら必ずどこかに駐車して、初めて役立つ乗り物です。出来る限り駐車場に停めるように努力しますが、やむを得ないと判断した場合は、法を犯さない範囲で路上に停めることもあります。
  22. 担当:路側帯の中は駐車禁止の場所とはなっていませんが、トラックで見通しが悪くなって迷惑してるんです。苦情もあります。その道路は重点取締区域でもありますから...
  23. (永遠と押し問答が続きそうだったので、話しを遮って、電話を終了させてもらった。)
  24. 自分:すいませんが、路側帯の中は駐車禁止でないと確認できましたので、ありがとうございました。失礼します。
  25. 担当:失礼します。(ちょっと不満そうだった。)

  • 駐車禁止・可能な場所を明確にすることを期待して電話したのだが、すべての道路に駐車してはいけないと説教されてしまった...。警察の基本的なスタンスはすべての道路は駐車禁止ということらしい。(少なくともこの所轄では)
  • ちなみに、道路交通法では第47条に(停車又は駐車の方法)として、守るべき義務が記載されている。路側帯での駐車方法については3項で規定している。義務を守れば駐車する権利もある、と読み取った。
(停車又は駐車の方法)
第四十七条  車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
2  車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
3  車両は、車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において、停車し、又は駐車するときは、前二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該路側帯に入り、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
   (罰則 第一項については第百十九条の三第一項第四号 第二項及び第三項については第百十九条の二第一項第二号、第百十九条の三第一項第四号)
  • しかし、その権利を濫用してはならない。多くの人が濫用すれば、それを防止するために法律が改正されたり、新たに制定されたりする。より細かく規定されることになる。法律でがんじがらめになった社会なんて、窮屈で住み難いはずだ。そうゆう意味では、警察が基本的に道路は駐車禁止というスタンスも理解できる。法律で権利を主張するのは、もしもの時の切り札にするべき。そうすれば、きっと法律も自分に味方してくれる。常に権利を主張し続けると、切り札が、切り札でなくなってしまう。
  • 22. 担当の発言「トラックで見通しが悪くなって迷惑してるんです。」確かにその通りではある。おかげで、駐車禁止の標識を見落とすことになってしまい今回の顛末に至ったのだ...。大型のトラックについては確実に左余地が不足するはずである。駐車違反で取り締まれば良いのだ。それを他の交通の妨害にならない小型車ばかり取り締まる。違反金を徴収するのが第一目的になってしまっている。(トラックにはほとんど運転手が乗車して停車状態。おそらく取り締まっても「すぐ移動します。」で逃げられてしまうのだろう。しかし、声をかけて移動してもらうのも、警察や駐車監視員の重要な任務だと思った。というより、本来はそれが第一目的になるべきだ。)
  • 今回の電話での問い合わせもそうだし、交番を訪問して警察官3人と立ち話をした時もそうだったのだが、話しているうちに何を言っても警察には通用しないと言う諦めの境地になってしまい、結局は警察の話しに「そうですね。」と同意して終わらせてしまう傾向があることに気付いた。警察の取り調べで、やってもいないことを「自分がやりました」と自供してしまう心理を多少感じることが出来たかもしれない。人生何が起こるか分からない。気を付けよう。

*1:1から始まる通し番号