16:9にまつわる思考
つい先日、白MacBook・Mac mini・iMacが一新された。スペックを見ていて、ちょっと気になったので。
iMac - 技術仕様
一瞬、以前の24インチモデルの解像度が標準になったと思ってしまうが、あれあれ?モニタ画素の横:縦の比率が16:9になってしまった...。縦は30ピクセルしか増えていない。
ちなみに、以前までのスペックは以下。
iMac (Early 2009) - 技術仕様
フルHDの解像度が1920×1080ピクセルだから、それに合わせたのかもしれない。劣化なし(拡大縮小なし)でフルHDが再生できる。
しかしである。確かにiMacでフルHDの映像を再生する需要はあるのだと思うが、果たして、iMacのモニタまでそれに合わせてしまう必要性があるのかどうか?疑問を感じた。
- そもそも、長らくVGA規格を引き継いだ4:3が利用されていて、それがワイドモニタに移行した時、見た目が最も美しいと言われる黄金分割比に近い16:10を選択した経緯があったと思う。
- もう、黄金分割比の美しさは求めないのだろうか?それとも、モニタ全体で黄金分割比を目指したのだろうか?(上下にフレームの厚みがあるので)
- また、フルHD映像をそのまま再生するという目的では、以前の24インチモデル:1920×1200ピクセルで十分である。縦が120ピクセル余分だが、使わなければ良いだけ。堂々と上下に60ピクセル余らせれば良いのだ。
- そうゆう意味では、4:3アスペクト比の1920×1440ピクセルでも良いと思うし、極論すれば1920×1920がベストなんだと思う。
- メーカーによっては、モニタを90度回転可能な機種も販売している。でも、そんなことするなら1:1アスペクト比のモニタを作ってしまえば良いのにと思う。そうすれば物理的に回転するという行為は不要になる。(素人考えだけど...。たぶん、画素が増える程にコストがかかるのでしょうね。)
- iMacはDVD以外にも様々な用途で利用されると思う。おそらく自分が使ったら、WEBブラウザを使うとか、テキストエディタに文章やコードを書くとか、そのような利用が大部分を占めると思う。
- 以前、モニタを縦にして1200×1920で試用してみたことがあるが、縦が1920あることにカルチャーショックを受けた。(MacBookの1280×800のモニタの2倍以上の縦サイズ)
- WEBページは掛軸のように一覧でき、テキストエディタでのコードの見渡しも非常に良くなる。スクロールなしで一目で見渡せると相当快適なのだ。
- イメージとしては、いつもダラダラ長いこのページも以下のようになる。
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- 1280×800では↑の範囲しか見えない。
- 1200×1920なら↓の範囲まで見える。
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モニタインチ | 実物比率 | 正方形比率 | |
---|---|---|---|
新iMac | 21.5 | 1920×1,080 | 1440×1440 |
新iMac | 27 | 2560×1,440 | 1920×1920 |
旧iMac | 20 | 1680×1050 | 1328×1328 |
旧iMac | 24 | 1920×1200 | 1517×1517 |
16:9への懸念
- 16:10の現状でさえ、縦の写真が相当縮小されることに違和感を感じる。16:9になると、さらに違和感を感じるはず。
- メニューバー・Dockは常に表示されていると便利なUIで、その表示領域を考慮すると、フルスクリーンモード以外では、かなりの横長に感じそう。
- 左右に配置する方法もあるが、Dockのデザインは下に配置することを前提に設計されている。(左右に配置すると、表示形式のファンは不可能など)
- 27インチは狭い部屋には大き過ぎるかも。
- 21.5インチ iMac
- H45.1 cm
- W52.8 cm
- D18.85 cm
- 9.3 kg
iMac - 技術仕様
- 27インチ iMac
- H51.7 cm
- W65.0 cm
- D20.7 cm
- 13.8 kg
- 20インチ iMac
- H46.9 cm
- W48.5 cm
- D18.9 cm
- 9.1 kg
iMac (Early 2009) - 技術仕様
- 24インチ iMac
- H52.0 cm
- W56.9 cm
- D20.7 cm
- 11.5 kg
16:9への期待
様々な横x縦の比率
MacBook | 1280×800 | 16:10 |
---|---|---|
iPhone・iPod Touch | 320×480 | 2:3 |
初期のMac | 512×342 | 約3:2 |
初代卵形iMac | 1024×768 | 4:3 |
DVD | 720×480 | 3:2 |
A4用紙 | 210×297 | 1:√2 |
35mmフィルム | 24×36 | 3:2 |
カメラ ニコンD40 | 3008×2000 | 3:2 |
カメラ キヤノンPowerShot S50 | 2592×1944 | 4:3 |
写真プリント L | 89×127 | 1:1.426... |
写真プリント 2L | 127×178 | 1:1.401... |
はがき | 100×140 | 1:1.4 |
- 紙によく使われる1:√2という比率は、長辺で半分にしても同じ横縦比率で完全相似な図形になるという、非常に便利な比率。
- デジタル一眼レフは、35mmフィルムをベースにしているから同じ3:2だけど、35mmフィルムが3:2になったのは偶然の産物。
- 写真のプリントは、1:√2に近い比率が多いけど、微妙に比率が異なるので、相似ではない。
- よって、プリントする用紙に合わせてトリミングする手間がかかるのだ。
- 35mmフィルムとプリント用紙の比率が異なるのも気になる。世の中、非効率的な比率が多い。
個人的には、もうこれ以上、横長のモニタになって欲しくない。せいぜいMacBookの16:10、あるいはiPhone・iPod Touchの3:2程度が好み。どちらも、黄金分割比に収束するフィボナッチ数列(1・1・2・3・5・8・13...)の比であるところも気に入っている。そもそも何故、フルHD規格は16:9になったのだろうか?横に長過ぎると感じるのは自分だけ?もし存在するなら、正方形のモニタを試用してみたい。使い勝手はどうなるのだろう。自分勝手な想像は、続く...。
価格.comで検索してみて、少し分かった。規格とコストの問題もあるかもしれない。1920×1080のモニタは非常に安価だ。きっと、テレビの液晶パネルと共用できるからだろう。稀に高額な1920×1080のモニタも見つかるが、それは40インチ以上であったり、テレビチューナー搭載であったり、映像の視聴をメインに考えた付加価値のためだ。
フラットな40インチ以上のモニタを目の前にしたパソコンの操作って、正面と左右で視界(距離と角度)が違い過ぎて、かえって使い難そうだ。それなら、20インチのモニタを見易い角度で2台並べた方が使い易そうな気がする...。
と、ここで閃く。Macはデュアルディスプレイに対応している。それなら1920×1080を縦に2台並べてWフルHDにしてしまえば良いのだ。1920×2160という正方形に近い16:18の広大なGUI空間が手に入る!しかも相当安価。
問題は上下のつなぎ目だ。WEBページの閲覧やテキストエディタを使う分にはあまり気にしないかもしれないが、写真を閲覧する場合は目障りかもしれない。
- 写真のスライドショーでは2画面が活用されるのだろうか?(仕様を忘れてしまった...。)
- Dockの配置はメインディスプレイになってしまうのだろうか?(
多分メインに表示されるので、配置が下だと画面の真ん中に表示されることになってしまう...。)
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- 実験してみた。
- iPhotoで写真のスライドショーは、ウィンドウが存在する、どちらかの1画面で展開された。
- ウィンドウが2画面にまたがる場合は、より多くのウィンドウ面積が存在する側の画面に展開された。
- 実験してみた。
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- Dockの表示位置は、2画面連結した状態で最下部、あるいは最右側・最左側に配置された。
- 最下左右が2画面ある場合は、メニューバーのある画面に配置された。
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Appleは自らのデザインのセンスで1920×1080を選択したのだろうか?それとも、コストダウンの魅力に負けてしまったのだろうか?もし後者が理由なら、オプションで16:10のモニタの選択余地をiMacに残してもらいたいものである。