ナチュラルな方向の問題
ほんの1週間前まで、メインに使っていたのはOSX 10.6.8 Snow Leopardだった。1年前にLionは購入したものの、結局移行しないでお蔵入り。なぜならSnow Leopardが自分にとって最高のOSだったから。
ところが、MacBook Pro Retinaが届き、使い始めてみると一気にRetinaの魅力にハマってしまった...。当初は、しばらくは使い勝手のいいSnow LeopardのMacBookを使いながら段階的に移行しようと思っていたが、ここ数日の日記に書いたとおり、Retinaには後戻りできなくなる魅力があるのだ!
- Retina+Mountain Lionのスクロール - ザリガニが見ていた...。
- Retinaのほんとうの力 - ザリガニが見ていた...。
- Retinaの広大さ! - ザリガニが見ていた...。
しかし、使い始めてすぐに、一つだけ悩ましい問題につまずいた。それはスクロールの方向の問題。これがデフォルトでは「ナチュラル」にチェックあり、となっている。ナチュラルだとページが動く方向と、指を動かした時の方向は、iPhone・iPadと同じになる。つまり、Snow Leopard以前とは、上下・左右とも逆方向になるのだ。
ナチュラル(自然な)と表現され、それがデフォルトでチェックあり、とされている。となると、そこにはAppleがiOSと操作性を統一しようとしている意図が感じられる。昔の習慣に固執して今逆らっても、後々ろくなことがないのはわかっている。よってここはAppleに従おうと「ナチュラル」チェックあり、で行くことにした。
当初はMacBookとも両刀使いだったのでスクロール方向の混乱しまくり。しかし、これはLionに移行していなかったツケが回ってきたのだと、自分に言い聞かせてナチュラルを敢行した。しかし、数日使ってもその混乱は解消されない...。上下のスクロールには慣れるのだけど、左右のトラックパッドチェスチャーに混乱しまくりなのだ。
これは一体どういうことなんだ?と自問してみた。そして、一旦「ナチュラル」チェック無しに設定してみると...今までの方向の混乱がピタリと止まってしまった。自分の中で何が起きているのだろう?分析してみた。
スクロールだけではない方向の影響
戻る・進むの不整合
- マウスで操作するOS環境には、25年以上の歴史がある。(1984年初代Macintosh発売)
- その中で、Webブラウザをはじめ様々なアプリケーションで戻る・進むという概念が使われてきた。
- そして、ほとんどのアプリケーションで、戻る=左側をイメージ、進む=右側をイメージした操作であった。
- ブラウザのアイコンは、戻る=左向きのマーク、進む=右向きのマーク。
- ショートカットには、矢印キーの左右やカッコの左右のが割り当てられることが多い。
- 相対的な位置関係も、戻る=左側、進む=右側。
- なぜそうなった明確にはわからないが、世の中戻る・進むのイメージがそうなっていることが多い。
ところが、ナチュラルに設定するとどうなるか?
- 左にスワイプすると進む、右にスワイプすると戻る。
世の中の原則と逆になっているのだ!
iPadとの不整合
- では、iPadではなぜ混乱しなかったのだろうと、考えてみた。
- 考えてもわからないので、実際にiPadを操作してみる。
- すると、iPadの場合4本指スワイプのアプリケーションの切り替えは、左にスワイプ=戻る、右にスワイプ=進む、となっている!
なんと、OSX Mountain Lionの操作とは逆なのだ!
- さらによく観察すると、アプリケーションを切り替えるときのスクロールの方向は、iPadもナチュラル方向だった。
- しかし、アプリケーションを起動した場合の配置が...
- iPadの場合は、いちばん左側に来るのに対して、
- Mountain Lionの場合は、右隣になってしまう。
- この配置の違いが、操作感に大きく影響している。
Mountain LionもiPadを見習うべきだと思う。
デバイスと実物の操作感
iPadは初代から使っている。当初、スクロールの方向が逆になるので、iPadとMacBookを交互に使うとスクロール方法が混乱するのではないかと、自分自身心配していた。しかし、操作を混乱したことは、一度もない。たぶん、実物をダイレクトに指で操作する感覚と、トラックパッド >> マウスカーソルを経由して操作する感覚は、頭の中で無意識のうちに区別されているのだと思う。
指で触るときの意識は、現実のページを意識している。一方、トラックパッドを触るときは、マウスカーソルやスクロールの方向を意識している。そこにマウスカーソルが見えている以上、たぶん無意識にそうなる。根本的な意識の対象が違っているのに、iOSとOSXの操作方向を無理に一致させる必要は全くない訳だ。いや、アプリケーションの切り替えについては一致さえしていない。iPadとは不整合が生じている!
操作方向は慣れの問題とも言えるかもしれないが、どうも世の中の原則から多くの点で逆向きになっている感触が抜けきれない。Appleには、ぜひ真剣に考えてもらいたい問題だ。
- Lion以降のユーザーは、みなさん「ナチュラル」チェックあり、の方向に慣れているのだろうか?
- Moutain Lionの2本指、4本指のスワイプにも、違和感を感じていないのだろうか?
という訳で、しばらく「ナチュラル」チェック無し、の設定で使ってみることにした。
タッチネイティブ
- 2歳児にRetina MacBook見せたら、いきなりディスプレイでフリックとピンチを始めた。
- もちろん、さっきまで唐揚げ握ってたと思われる、超油ギッシュな手で...。(ガックリきた)
- ちなみに、2歳児はiPadを渡しておくと、YouTubeでアンパンマンを見るのがお気に入り。
- いつのまにか、パソコンの画面はタッチするものだという認識になってる。
- これが生まれたときからiPhone・iPadに当然のように囲まれている、タッチネイティブというものか。
今後、タッチネイティブ全盛になるのだから、スクロールのナチュラルは、指と同じ方向にページが動くのが主流になる気がする。となると、やはり自分の感覚は少数派になってしまうのだろうか?自信がなくなってきた。